徐々に変わる米国の民意
メディアが指摘している通り、米国では原爆投下が終戦を早め、無数の米国人の戦死を回避したとする考えが主流だ。そのため米国の政界では、広島訪問は間違いなく敏感な問題だ。核兵器を投下した米国の大統領が広島を訪問すれば、日本に「謝罪」したと判断されやすい。
オバマ大統領は、実際にはさらに大きな圧力に直面している。オバマ大統領は任期中、他国に「謝罪」し「謝罪の旅」を行ったと、共和党から批判され続けている。ワシントン・ポスト(電子版)が、「オバマ大統領の広島訪問は、どれほど十分な理由があっても、都市全体を焼き払うのは恐ろしいことだと、婉曲的に認めることに他ならない」と指摘したとおりだ。このような姿勢は、保守派から攻撃されやすい。
袁氏は、「任期満了を迎える理想主義者のオバマ大統領は、すでにそれほど世論を気にする必要はなくなった」と分析した。
ましてや、米国の民意にも密かに変化が生じている。ピュー・リサーチ・センターは昨年、米日両国の原爆に関する調査データを整理した。1945年の原爆投下後、当時85%の米国人がこれを支持していた。この数値は2015年に56%に低下した。また18−29歳の米国人のうち、原爆の使用を正義とする人は47%だった。65歳以上は70%。
ケリー国務長官は先月広島を訪問し、オバマ大統領の訪問の探りを入れた。国民の穏やかな反応に、オバマ大統領は安心した。ワシントン・ポスト(電子版)は、ケリー国務長官の広島訪問は、米国でほとんど批判されなかったとしている。ワシントン・ポスト、ニューヨーク・タイムズを含む主流メディアは、オバマ大統領の広島訪問を支持する社説を掲載した。
そのためオバマ大統領は、この71年間に渡るタブーを打破する圧力をほとんど受けていない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年5月15日