アジア版NATO、再び話題に

アジア版NATO、再び話題に。

タグ: NATO 鄭永年

発信時間: 2016-08-22 13:23:38 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

有名学者の鄭永年氏は最近、米国のアジア政策に関する長編記事の中で、「アジア版NATO」が形成されれば、中国にとってかつてない安全の脅威になると言及した。多くのアジア情勢観測筋による判断と憂慮に合致するため、この観点はSNSを通じて広まった。

「アジア版NATO」という概念は、インドの地政学者、Madhav Nalapat氏が提唱したアジア安全枠組みの理論に基づくとされている。北米とアジアの民主国間の安全関係構築が、その主軸となっている。構成国には南アジア・東南アジア諸国、太平洋の豪州、インド、フィリピン、シンガポールが含まれる。東アジアは日本と韓国、北米は米国とカナダ。さらには中東のバーレーン、クウェート、オマーン、カタールなどの国が含まれる。

ソ連とロシアのけん制に用いられるNATOと異なり、「アジア版NATO」は構成国が進攻を受けない限り、特定の国をターゲットとしない。Nalapat氏のこの考えは、今世紀初頭に打ち出されたが、それ以前にも類似する提案はあった。かつアジア太平洋情勢が敏感かつ複雑になると、そのような動きが目立っていた。今後一定期間内に「アジア版NATO」が騒がれても、意外なことではない。

「アジア版NATO」は実現されうるだろうか?これはまだ現実的ではないという考えが主流になっているが、それには次のような幾つかの理由がある。アジア太平洋の現状は、欧州・大西洋が当時NATOを創設した際の情勢とは比較できない。この枠組みは明らかな方向性があるため、中国の友好国から反対される可能性がある。多くの国は現在、集団的な安全枠組みよりも、二国間、特に安保計画にメリットがあると判断している。より重要なのは、米国がアジア太平洋リバランスを推進しながらも、さまざまな目論見から、アジア太平洋で集団的な防衛枠組みを構築する準備を整えていないことだ。

それからまったく異なる観点もある。米国の政治学者、ジョン・ミアシャイマーは2014年に出版した『大国政治の悲劇』で、インドや日本などの国、シンガポール、韓国、ベトナムなどの「小さな強国」が、中国の台頭に懸念している多くの証拠が上がっていると指摘した。これらの国はけん制に躍起になっており、最終的に米国が指導するけん制同盟に加わることになる。これは当時、英国、フランス、ドイツ、イタリアなどの国が米国と手を結び、ソ連をけん制したやり方とほぼ一致する。

ところが現実的には、「アジア版NATO」は確かに容易に形成できない。まずこれはグローバル化と地域一体化の流れに逆らう。アジア太平洋諸国・地域にとって、安全問題は重要だが、政治・外交・経済・貿易交流が完全に途絶えた戦後の二つの陣営は、まったく想像できないことだ。アジア太平洋情勢は現在、NATOやワルシャワ条約機構が創設された当時ほどの対立には陥っていない。

しかし情勢は常に変化するものだ。有名な政治学者、フランシス・フクヤマ氏は最近の記事の中で、「経済規模を見ると、中国は近い将来に米国を抜くかもしれないが、世界一に慣れた米国はこの流れを受け入れられるだろうか?」と判断した。現代の「覇権国」である米国は、世界の伝統的な地位を守るためさらに強硬な戦略的措置を講じることはあるだろうか?中国は「台頭する国」として、この数百年に渡り自国になかった深い構造変化に、いかに対処すべきだろうか?これは歴史的な課題であり、「アジア版NATO」はその中の一つの命題にすぎない。これは中国と米国を含む各国の、理性と知恵の重大な試練だ。

「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年8月22日

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