トランプ政権はマラソン政権
就任100日の最大の挫折は、新たな医療保険改革法案の採択に失敗したことだろう。トランプ大統領は3月24日、議会での投票まであと数時間と迫った段階で、新たな医療保険法案を撤回し、最大の選挙公約は頓挫することとなった。
トランプ政権と共和党の医療保険改革問題での政策は、「オバマケア」を代替するために設計したものだった。保守派は、トランプの医療保険改革では「脱オバマ化」の度合いが足りないと批判している。だがもしも全国民をカバーする医療保険が撤廃されれば、トランプを支持していた底辺層の有権者は医療保障を完全に失うこととなる。そうなれば、トランプ政権の基盤が揺らぐことは避けられない。
もう一つの挫折は、移民と国境管理の政策調整がうまく行かなかったことだ。トランプ大統領は就任後、イスラム教徒が多数の一部の国からの入国を制限する命令を2度にわたって出したが、連邦地方裁判所の判事による全米での差し止め処理に遭遇した。
トランプ大統領が移民の入国制限令の推進にこだわるのには、選挙公約の実現や米国でのテロ防止、移民との就業競争の減少など多重的な国内政治の考慮があると考えられる。だがこうした制限令の強引な推進によって、トランプ大統領は受け身に立たされ、移民層の不満を引き起こし、米国内の社会矛盾を激化しただけでなく、外交全体にも影響が出ている。
メディアの各種調査の結果は、トランプ大統領が、就任初期の大統領として米国の政治史上最も人気のない大統領であることを示している。だが本人は自信満々のようだ。トランプ大統領はSNSで、「最初の90日でこれほどの成果を上げた政権はこれまでにない。これには軍事や国境、貿易、規制、取り締まり――私たち取り締まり部門は素晴らしい――、政府改革などが含まれる」としている。
トランプが運営している政権はマラソンであり、100m走ではない。短期的には失敗もあるだろうが、長期的に見れば重要な試みだ。こうした失敗を過度にしつこく追及するべきではないだろう。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2017年4月26日