現在の世界経済構造において、中国の戦略的地位は米国・欧州よりも向上している。米国・欧州関係の冷え込みは、中国・欧州の歩み寄りの可能性を生んだ。この状況下、中独両国は現在の二国間関係発展のチャンスをつかみ、世界経済ガバナンスに知恵と力で貢献するべきだ。
今年のG20ハンブルク・サミットは「相互に関連し合う世界の形成」をテーマとし、「経済安定性維持」「改善の持続可能性」「責任ある発展」という3つの議題を設ける。メルケル首相は欧州の指導者をG20の事前会議に招待した際に、貿易と気候問題の重要性を特に強調した。これは米国・欧州の間で大きな食い違いがある問題であり、G20サミットで合意を形成するのは決して容易なことではない。
ドイツがG20サミットの目標を実現するためには、中国の支持が不可欠だ。自由貿易とグローバル化を守る上で、中独には共通の目標があり、広範な共通の利益が存在する。ドイツは「相互に関連」をテーマとし、保護主義が台頭するなか、保守的・閉鎖的では世界経済の課題に対応できないことを浮き彫りにした。
中国の「一帯一路」(シルクロード経済ベルト、21世紀海上シルクロード)は、世界の相互接続を強調する。この理念はハンブルク・サミットのテーマと期せずして一致した。世界経済ガバナンスの課題にいかに対応するかをめぐり、中独両国が基本的な共通認識を持っていることが分かる。この基礎を踏まえた上で、両国は二国間関係をさらに掘り下げ、中国・欧州の各自の発展戦略を結びつけ、より多くの議題で共通認識を形成する必要がある。こうして初めてトランプ政権の政策による悪影響を最大限に弱め、秩序を失うリスクに直面した世界経済ガバナンスの新たな局面を切り拓くことができる。(筆者:姚楽 中国人民大学重陽金融研究院マクロ研究部研究補佐)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2017年7月7日