2015年10月に中国共産党は第18期中央委員会第5回全体会議(五中全会)で、「革新・協調・エコ・開放・共有」という発展理念を確立した。中国経済の新常態(ニューノーマル)、世界経済の回復低迷に対する処方箋だ。これは中国の発展の全局に関わる深い変革と見なされる。習近平総書記は「新発展理念は指揮棒であり、断固貫徹する必要がある」と指摘した。人民日報海外版が伝えた。
■全局的・根本的・長期的導き
新発展理念は国内外の発展の経験と教訓を深く総括し、その大勢を分析した上で形成されたものであり、経済・社会発展の法則に対する深い思考の結晶だ。
新発展理念は互いに通じ合い、促進し合う、内在的結びつきを持つ集合体だ。このうち革新的発展は発展の原動力の問題、協調的発展は発展の不均衡の問題、エコ発展は人と自然の調和の問題、開放的発展は発展の内外連動の問題、共有的発展は社会公正の問題の解決を重視する。
2016年1月29日の中共中央政治局の集団学習で、習主席は「『革新・協調・エコ・開放・共有』という発展理念は、第13次五カ年計画、そしてさらに長い期間のわが国の発展の思考、方向、重点を体現しており、全局的、根本的、長期的導きだ」と指摘した。
今や新発展理念は中国の経済・社会発展の各分野を貫き、人々の生活に確かな影響をもたらしている。
■発展の新構造を形成
中国鉄路総公司が開発した、独自の知的財産権を完全に持つ中国基準の新車両「復興号」が北京と上海を結ぶ「京滬高速鉄道」を時速350キロで走った。これにより中国は高速鉄道の営業運転速度が世界で最高の国となった。
第18回党大会以降、中国共産党は「人民が改革に一層の獲得感を得られるようにする」との厳かな約束を常に忘れず、国民の「関心」を現実に変えるべく努力してきた。2016年の全国の1人当たり可処分所得は2010年比で実質62.6%増加、ジニ係数は2012年比で0.009下降、都市・農村間格差は縮小が続いた……
各分野の発展の新構造はすでに誰の目にも明らかだ。この5年間で、「一帯一路」建設、北京市・天津市・河北省の協同発展、長江経済ベルトの持続的推進によって、地域発展の全体性と協調性が促進された。この5年間で、中国は燃料用石炭の削減、排ガス基準を満たさない車の淘汰、排出基準を満たさない企業の整理など一連の力強い環境保護政策を打ち出し、エコ文明建設は加速的発展という新局面を呈した。この5年間で、自由貿易区戦略の実施、アジアインフラ投資銀行の設立から、海洋・極地・サイバー空間・宇宙・核安全保障・反腐敗・気候変動など新興分野のガバナンスルール制定への積極的関与まで、中国は経済成長とグローバル・ガバナンスの分野で果敢に責任を担い、顕著な貢献をした。
■世界の発展にプラスのエネルギー
新発展理念は中国経済の方向性を指し示すとともに、「低成長の苦境」から世界が脱するための参考も示した。中国は経済の中高速成長を維持すると同時に、自らの発展のノウハウと理念を世界各国と分かち合い、世界経済の成長促進、各国の共同発展の実現にプラスのエネルギーをさらに多く注いでいる。
「新発展理念は中国の国政運営にとって非常に重要であるだけでなく、グローバル・ガバナンスに対しても重要な意義を持つ」と、スペイン王立エルカノ研究所の国際政治経済シニア・アナリスト、ミゲル・オテロ・イグレシアス氏は指摘する。
「新理念、新思想、新戦略を国政運営の新たな方策、社会・経済発展の新たな座標として、中国は国際社会でさらに大きな競争優位を獲得する」と、フランス・ニース欧州研究所の研究者は指摘する。
中国の劉結一国連大使は「中国の理念は国際社会が経済成長と雇用創出を実現するための解決策を示し、国際社会の一致した同意を得た」と指摘する。(編集NA)
「人民網日本語版」2017年9月25日