トランプ米大統領はこのほど、中国からの輸入品に高額の関税を課す大統領令に署名した。国際社会はこの行動を注視している。各国の多くの識者は、米国が貿易紛争を一方的に挑発するのは国際貿易規則に反し、米国、中国、さらには全世界にとって極めてマイナスであり、米国は最終的に貿易戦争に勝てないだけでなく、信望を失うことも避けられないと指摘する。世界大国である米国は理性を取り戻し、中国と協力して溝の解消を図るべきだ。
■「一方が貿易戦争を発動すれば、最終的に双方が共に傷つく」
「トランプ政権は今回中国からの輸入品に高額の関税を課すことを決めた。これは米国の保護貿易主義の『氷山の一角』に過ぎない」。ダニエル・グロース欧州政策研究所長は「かつて多角的自由貿易の提唱者であった米国は現在、反対の方向へ進んでいる。20年余りの発展を経て、中米経済の最大の特徴は高い相互依存度であり、ひとたび一方が貿易戦争を発動すれば、最終的に双方が共に傷つく結果となる」と指摘する。
「米国のやり方は世界の多国間貿易規則を破壊する悪い前例だ」。リオデジャネイロ・カトリック大学のパウロ・ウロベル教授は「世界経済が一体化した今日、世界最大のエコノミーである米国のいかなる一方的な非理性的行為も自らを傷つけることは避けられず、自他共に損なうといえる」と指摘する。
ハンブルク世界経済研究所のヘニング・ヴェペル所長は「米国の懲罰的関税措置は中国のみを標的にしたものではなく、いつでもEUにも向けられうる。EUが何もせずにそばで見ていることはあり得ない」と指摘。「貿易戦争は通貨戦争を引き起こす可能性もある。ひとたびそのような結果を招けば、貿易戦争と通貨戦争が続き、世界経済に2008年の世界金融危機以来の破滅的結果をもたらす」とする。