またトランプ大統領は貿易問題で各国を敵としているが、各国がこれを受け正当な貿易保障措置を講じることで、米国の農業州の利益をさらに損ねる可能性がある。中間選挙と未来の大統領再任を見据え、トランプ大統領はその貿易政策による農業州の政治情緒の変化に対処する必要がある。彼らの焦りを解消するため、トランプ大統領はTPPへの態度の見直しを迫られる。この調整が自己否定のような180度の転換だとしてもだ。
TPP離脱は容易だが、復帰はそれほど容易ではない。その他の加盟国は新たな協定で合意に達し、正式な発効基準を明確化している。彼らとトランプ政権の利益は完全に異なっている。また米国の離脱を受け、CPTPP加盟国はオバマ政権が米国の利益を守るため押しつけた、20以上の条項を凍結するか修正した。これらの条項は米国のみに有利だった。またトランプ大統領はTPP交渉復帰の条件を、オバマ政権を上回る条件の条項としている。多くのCPTPP加盟国が米国の復帰を願っているとしても、この条件はあまりにも理不尽だ。これらの食い違いは、トランプ大統領が解消できるものではない。米国のTPP復帰は大勢の赴く所だが、トランプ大統領の任期中に、米国が有利な条件で復帰するのは極めて非現実的だ。そのためトランプ大統領の発言は、一つの姿勢を示しているに過ぎない。
こうなることが分かっていたならば、そうする必要はなかったはずだ。トランプ大統領がTPP問題で態度を二転三転させたことから教訓を汲み取り、その他の重大貿易政策を打ち出す際に慎重に検討を重ね、自身の選挙の利益を考慮すると同時に米国全体の利益を考慮し、衝動的に方針決定してから後悔することのないよう願う。(筆者・宋国友 復旦大学米国研究センター副主任)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2018年4月18日