マーシャルプランは当時、受益国となる西欧16カ国と協力し、共産党関係者をこれらの政府から排除することで、共産主義とソ連の欧州での拡張をけん制するツールになった。この意義から論じると、一帯一路はマーシャルプランよりも包摂的で、各種文明を受け入れる。
次に、一帯一路は安全や軍事への潜在的な影響力を持たない。その基本目標は5つの当局間重点協力分野に打ち立てられており、中心となるのはインフラの相互接続だ。「五通」(政策の意思疎通、インフラ施設の連結、貿易の円滑化、資金の調達、民心の通じ合い)は人、企業、社会、各国政府を含む協力枠組みを形成しているが、軍事面に潜在的な影響力を持たない。対照的に、マーシャルプランはNATOという軍事計画を生み、協力してソ連をけん制した。
70年以上前、ソ連は米国からの敵対行為に対抗し、その影響力をけん制することを決定し、西側諸国に背を向けた。中国は現在、新たな冷戦を発動するつもりはない。
歴史を振り返ると、中国は多くの世紀に渡り、世界の権力の仲立ちとしての役割を演じている。しかし中国は朝貢制度によって各国と交流し、尊重されることで自国の優位を維持しようとした。これは世界は勝者と敗者のゼロサム体制ではなく、調和的かつ多元的な世界であると中国が考えることへの理解の一助になる。