万国郵便連合からの脱退は米国の貿易政策の歪みを示している。米政府は中米貨物貿易赤字の問題を常に気にかけているが、米国が長期的に対中サービス貿易で黒字を計上していることには絶対に言及しようとしない。米国は現在、世界一の経済大国の地位を占めている。伝統的な貨物貿易ではなく、バリューチェーンのさらに川上のサービス貿易や、金融サービス、知的財産権などでより大きな利益を手にしている。中国の中小企業がネット通販で米国に送るのは、衣料品や家庭用品など低付加価値製品がほとんどで、国民生活に必要な品物が多い。中米のこのような貿易協力構造は第二次大戦後の、欧米グローバル企業が主導する世界の資源分配とサプライチェーンの分業・協力の結果だ。そのためアップル、アマゾン、フォードなどのグローバル化構造内にある米国トップの企業は、米国の現政権の貿易政策に賛成していない。
米国はさらに別の組織から脱退できるかもしれないが、世界経済一体化という大きな流れからは脱退できない。米国が再び脱退を駆け引きの駒にすれば、国の信用をさらに失うことは間違いない。ネット通販に依存する中国の一部の中小企業は、これを恐れる必要はない。米国の今回の脱退は、グローバル化サプライチェーン安全体制の建設強化を促す警鐘だ。貿易戦争により一部の中小企業に激震が走るかもしれないが、「インターネット+」というビジネス環境において、競争力をつけようと努力する中小企業は、アリババなどのプラットフォーム提供企業を通じ世界に進出することができる。(筆者・楊達卿 中国物流・購買連合会サプライチェーン専門家委員、中国物流学会客員研究員)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2018年10月19日