中国経済の布石を知る重要な窓である全国両会(全国人民代表大会・全国人民政治協商会議)が近く開幕する。ビジネス環境の改善について中国政府がどのような布石を打つかが、重要な注目点となるだろう。中国新聞社が伝えた。
今年は中国にとって、小康社会(ややゆとりのある社会)の全面的な完成における正念場の年であり、ビジネス環境を優れたものにすることは必須であり、一刻の猶予もならない。短期的に経済の下押し圧力を食い止め、雇用、金融、貿易、外資、投資、予測の安定を確保するうえでも、新旧の成長原動力の転換を促進し、質の高い経済発展という中長期目標を達成するうえでも、公正で透明かつ予測可能なビジネス環境の構築を加速することは必須だ。
近年、中国のビジネス環境は著しく改善された。世界銀行の報告では、2018年に中国のビジネス環境は世界78位から46位に上昇した。だが中国国務院発展研究センター対外経済研究部元部長の趙晋平氏が指摘するように、全体的には改善されたものの、いくつかの指標では世界一流の水準とはまだ大きな落差がある。
現在、世界の主要エコノミーはいずれもビジネス環境を国際競争に勝つ新たな優位性と見ている。「このため中国のビジネス環境改善はより高い要求を突きつけられている。自らに足りない点を改めるとともに、高まる一方の企業の期待も満たす必要があるうえ、早急に他国に追いつく必要もある」。趙氏は「中国にはさらに多くの、さらに力強い実際の行動が差し迫って必要だ」と指摘した。すでに国務院常務会議はビジネス環境を優れたものにするための方針を示しており、ビジネス環境を優れたものにする措置をさらに多く打ち出し、事項の簡素化、プロセスの簡略化、費用の引き下げなどの面で取り組みを強化し、企業の主体的経営への不当な妨害を防止するとともに、ビジネス環境評価を実施するよう指示している。
だが学者は「円滑化政策に焦点を合わせるだけでは不十分だ。法治化と国際化に注目し、高い基準の制度・規則づくりを中国のビジネス環境改善の新たな重点とすべきだ」と指摘する。
中国商務部(商務省)国際貿易経済協力研究院副院長の李鋼氏は「国内のルールや制度を国際的に通用するルールや制度とマッチさせ、監督や管理の一致性を体現して初めて、世界の投資家の『ペインポイント』を的確に解決し、協力パートナーが中国市場に進出する際の利益面の訴えに効果的に応じることができる」と指摘する。
「望ましいビジネス環境を築くには、ルール、基準、制度の現代化が必須だ」。中国国際経済交流センターチーフ研究員の張燕生氏は「このため中国はルール面でさらに開放を進め、他国との協力を強化し、積極的に学び、世界の先進的ルールと比較して分析する必要がある。ルール面で政府の自己改革を加速し、ガバナンス能力の現代化を実現する必要がある」と指摘する。
制度的開放の重要な一歩である「外商投資法案」はすでに2回の審議を終え、近く開催される第13期全人代第2回会議に上程される。外資分野の基礎的法律である同法案の最終バージョンが、中国がさらに高い水準の開放を推し進め、ビジネス環境を優れたものにするために、国際ルールとの一致性を高めた法的保障を提供できるか否かに、外部は強く注目している。
これと同時に、中国政府は競争の中立性を確保し、内資と外資、国有企業と民間企業、大企業と中小企業を平等に扱い、公平な競争の行われる市場環境を築く方針を打ち出している。
さらに多くの分野で高い基準の制度とルールを築き、競争の中立性を推進して、ビジネス環境を市場の期待に一層沿うものにすることについて、政府活動報告がどのような方針を打ち出し、代表・委員らがどのような見解を示すかも、両会のもう一つの注目点となるだろう。(編集NA)
「人民網日本語版」2019年2月28日