知的財産権問題を長期的に追跡・研究している学者、全人代代表、北京市社会科学院法学研究所研究員の馬一徳氏は中国網の独占インタビューに応じた際に、「近年の『政府活動報告』のうち、今年は知的財産権が最も大きく取り上げられた」と指摘した。
馬氏によると、政府活動報告は農業、科学技術、市場経済などの部分で知的財産権に言及している。「特に報告は、知的財産権侵害の懲罰性賠償制度を健全化し、良好なビジネス環境を構築するとした。これは中国が知的財産権の保護で、長期的な進歩を実現したことを象徴している」
馬氏は、全社会が知的財産権を力強く保護することで革新を奨励し、ブランド経済・技術経済・文化経済を形成し、真の高品質発展を実現できると判断した。
馬氏は中国の知的財産権分野の有名な学者として、中米貿易摩擦の処理に参与した。「米国は知的財産権をめぐり中国を批判することが多い」これは中国経済が近年急成長し、科学技術力の強化が続き、一部の国が中国に懸念を抱いていることと直接関係しているという。しかしその一方で、中国市場という大きなパイを失おうとする国はない。2つの複雑な感情が重なり、「これらの国は知的財産権の問題で中国に頻繁に難癖をつけている。中国は知的財産権を十分に保護していない、中国の知的財産権の保護は外国を差別している、中国の知的財産権の法制度には不備があると批判する声が聞かれる」という。馬氏は、これの批判は傲慢であり事実と一致しないと考えている。
「中国の知的財産権の保護は改革開放後、特にWTO加盟後になりようやく始まった。西側諸国は知的財産権保護の道を200年歩んでいるが、中国にWTO加盟から十数年で完全に一致させようとするのは非現実的だ」
馬氏は、国内資本と海外資本は司法裁判においてビジネスの主体として平等であり、法律の適用についても平等との観点を示した。「法執行はみな平等であり、国内と海外を差別するといったことはない」
馬氏は、中国は知的財産権の保護で目覚ましい進歩を手にしており、かつ前進を止めたことがないと見ている。中国はWTO加盟後に知的財産権の保護を拡大し、『商標法』『特許法』『著作権法』『反不正当競争法』など一連の法律を制定した。「知的財産権に関する紛争、上訴、二審のすべてが、最高人民法院知的財産権法廷で審理を受けなければならない。これはそれまで存在していた、各地の法執行基準が異なるという問題を解消した」
デジタル経済が急成長している。北京市、広州市、杭州市などのIT企業が密集する都市は、インターネット裁判所を設立した。「これは主にハイテク分野の知的財産権の紛争を審理し、裁判を行うためだ」
「これら一連の措置は、国内企業と外国企業の訴求により良く応じるためだ」馬氏は、ビジネス環境の改善は革新駆動型発展の内的需要に奉仕するためと考えている。中国経済は質向上・効果拡大及び高品質発展に転じる段階に入っており、知的財産権の保護が自国の発展の必然的な需要になっている。
全社会の知的財産権の保護を拡大する需要が拡大し、これを支持する声が高まっている。政府活動報告では、知的財産権侵害の「懲罰性賠償制度」の健全化が言及された。昨年末に審議中の「特許法修正案(草案)」は、法定の特許侵害賠償額を従来の1−100万元から10−500万元に引き上げた。「当然ながら、中国の知的財産権の保護はさらに長い道を歩むことになり、永遠に歩み続けると言える」馬氏は、各地の法執行水準のばらつき、法執行簡略化などの問題の他に現在最も重要になっているのは、全社会の知的財産権保護意識の向上と指摘した。「心の底から、行動によって知的財産権の法律を敬い尊重する必要がある」
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2019年3月12日