習近平国家主席は20日、イタリア紙「コリエーレ・デラ・セラ」への寄稿「東西交流の伝える美談 新たな章を綴る中国とイタリアの友情」で「一帯一路」に繰り返し言及したほか、シルクロードとの関係が深いマルコ・ポーロにも触れた。(文:王義桅・中国人民大学EU「ジャン・モネ」講座教授、重陽金融研究院シニアフェロー。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載))
習主席は「われわれはイタリア側と共に『一帯一路』を建設し、両国の『一帯一路』協力の持つ歴史的、文化的、地理的強みを活かし、『一帯一路』の相互接続をイタリアの『北部港湾建設計画』『イタリア投資計画』などと連携させ、海上、陸地、航空、宇宙、文化など様々な次元で新時代における『一帯一路』を築くことを望んでいる」と述べた。
「イタリアは『一帯一路』共同建設に加わることを望んでいる。これはイタリアに新たなチャンスをもたらす」。イタリアのコンテ首相は先日の外交政策シンポジウムでこう表明した。実際には、「一帯一路」共同建設はイタリア一国にチャンスをもたらすだけでなく、欧州全体にもいくつものチャンスをもたらす。
第1に、欧州経済振興のチャンスをもたらす。「一帯一路」イニシアティブが打ち出されると、欧州委員会は「ユンケル・プラン」(3510億ユーロの戦略インフラ投資計画)を「一帯一路」と連携させる意向を表明した。昨年も欧州委員会はユーラシア・コネクティビティ戦略に関する政策文書をまとめ、「一帯一路」との協力意向を再度表明した。英国、フランス、ドイツ、イタリア、ルクセンブルク、スイスなど欧州各国はアジアインフラ投資銀行(AIIB)のもたらすチャンスを有望視し、AIIBの設立時参加国となった。これは欧州にとって「一帯一路」のチャンスを捉え、英ポンド、ユーロ、スイス・フランの影響力を高める現実的措置だ。
第2に、独特の優位性を掘り起こすチャンスをもたらす。「一帯一路」は欧州の国々や都市が相互接続する世界において玄関口や接続地となる後押しをする。中・東欧諸国の一部はユーラシア・コネクティビティの先駆者となり、他の国々よりも競争力を備えている。プラハやブダペストといった都市は中欧航路によって地域航空の拠点となっている。国際定期貨物列車「中欧班列」の通る国や都市は物流と産業が活性化し、中・東欧の懸け橋や紐帯としての役割を強めている。「一帯一路」の描く相互接続する世界においては、小国も地域の拠点さらには世界の拠点となることができる。これは伝統的な接続地でも、ソフト面の接続地でも、新たな接続地でもありうる。
第3に、中国EU包括的・戦略的パートナーシップをさらに拡充するチャンスをもたらす。中国とEUは現在「中国EU協力戦略計画2020」を基礎に投資協定交渉を進めている。さらに、これを基礎とする中国EU自由貿易協定(FTA)のフィージビリティスタディも検討している。「一帯一路」計画はその大きな原動力となる。これは中国とEUの「4大パートナーシップ」(平和・成長・改革・文明のパートナーシップ)の発展推進にも寄与する。「中欧班列」はすでに累計1万4000便運行し、欧州15カ国49都市に通じ、中国と欧州の異なる地域を共に発展させ、協力・ウィンウィンという新しいタイプのパートナーシップを構築している。
第4に、EUのアジア太平洋への関与を容易にするチャンスをもたらす。「一帯一路」は欧州を陸上と海上の双方からアジアと結びつけ、アジア太平洋への関与を容易にすると同時に、EUがアジア太平洋発展のチャンスを捉える能力を高め、アジア太平洋地域におけるEUの影響力を拡大する。
欧州諸国は「一帯一路」を重視している。中・東欧16カ国は中国―中・東欧協力枠組の下で、中国との「一帯一路」共同建設政府間協力覚書に調印している。ギリシャ、ポルトガル、マルタなども「一帯一路」のコミュニティに加わった。これは「一帯一路」が欧州に「ボーナス」をもたらし、さらなる歓迎を受けていることを如実に物語っている。
習主席は近くイタリア、モナコ、フランスを国賓として訪問する。この訪欧では「一帯一路」が対話の中で多く言及されるに違いない。(編集NA)
「人民網日本語版」2019年3月21日