「誠実は最良のポリシーである」。ワシントンの一部政治屋は米国建国の元勲であるベンジャミン・フランクリンのこの名言をとうに忘れたらしい。米側は中米通商協議の過程で言うだけで信用を守らず、二転三転する。少し前に言った事を、次の瞬間には自分でひっくり返す。態度を急変するそのスピードは本のページをめくるよりも速い。「二転三転する対中戦略は逆に米国自身を傷つける可能性が高い」と米国メディアでさえ強く問題視し、憂慮している。(人民日報「鐘声」国際論評)
中米閣僚級通商協議の過程を振り返ると、米国の一部政治屋のいわゆる「取引テクニック」が一層明らかになる。昨年5月19日、中米双方は貿易戦争をしないことで合意したが、わずか10日後に米側は公然と約束に背き、関税の圧力をかけ始めた。今年5月5日、米側が再び関税で脅したために、協議は深刻な頓挫を来した。米側の一部政治屋は事実を顧みず、こともあろうに中国に「後退」「破棄」のレッテルを貼り、「約束違反」「言行不一致」と中国側を非難している。
全くもって米国の一部政治家は言動をころころ変えることが多すぎる。ニューヨーク・タイムズは、米側は「他国との新たな貿易規定への同意を繰り返し表明するが、さらに多くの目的を達成しようと、すぐにこうした合意の取消を議論し始める」と指摘した。米国の現政権は発足するや、以前は自らが先頭に立ってきた環太平洋パートナーシップ協定(TPP)から一方的に離脱して、他の参加国に手を打つ時間を与えなかった。昨年もイラン核合意からの離脱を一方的に宣言して、何年もの困難な交渉の成果を水の泡にした。強い落胆の意を示し、引き続き合意に留まることを表明した欧州の国がある。欧州メディア8社がEUで実施した調査では、4割以上の回答者が「米国はもはやEUの信頼できる安全保障パートナーではない」との認識を示した。
普通の人なら誰しも「信用を失う」ことをひどく恐れ、避けようとするのに、なぜ米政府は国際問題において何の躊躇もなしに態度を急変させるのか。深く突き詰めると、やはり高い地位にある米国の政治屋は国家間の付き合いを単なるビジネス投機活動と間違え、国家間にはゼロサムゲームあるのみだという誤った考えをしているのだろう。こうした政治屋はどうすれば自らの利益を最大化できるかを一心不乱に算盤勘定しており、国家の道義的イメージは敝履の如くとうに捨て去っているのだ。約束を守らずに自分の利益ばかり求めれば、結局は自ら苦い結末を招くことになる。米国の政治屋は言動を二転三転するたびに、自国の信望を傷つけ、失墜させているのだ。米経済誌「フォーチュン」の論説員の問いかけは熟考に値する。「たとえ米側が次にまた中国側と交渉したいと思っても、『中国は米国を殺している』と言ったかと思えば『我々と中国との関係は良好だ』と言う米国の政治屋を中国人はそれでも信用できるだろうか?」。今や世界の人々は同じ事を感じている。つまり、米国の信用性はワシントンの一部政治屋が約束を守らないために根幹から蝕まれており、このままいけば、最後には失墜するということだ。
世界経済の大海で、各国は互いにあるものとないものを融通し合ってうまくやっている。船舶が絶え間なく行き交うために頼りにするのは信用の帆であり、ルールの錨だ。相互信頼は国際関係における最良の接着剤だ。中国は他の国々と共に、対話と協議の活用を堅持し、多国間主義の徹底を堅持し、人類社会の「信用の堰堤」を共同でしっかりと守ることを望んでいる。小異を残して大同につき、一致点を集めて相違点を解消することを堅持し、率直で誠意ある踏み込んだ対話と意思疎通を通じさえすれば、戦略面の相互信頼を増進し、国家間の広範な協力を推進し続け、各国の人々に幸福をもたらすことが必ずできる。
中国人は「人は信がなければ何も為すことはできない」と言い、「言葉に信がなければ、行いを果たせない」と強調する。過去1年間に起きた事は、米国の一部政治屋が言動を二転三転させ、最大限の圧力を加えても、中国に対しては効き目がなく、徒労に終わることを十分に物語っている。一言で言うと、ワシントンの政策決定者はやり方を根本から改め、言動を一致させ、裏表なく、信用を重んじ約束を守る道に戻らなければならない。(編集NA)
「人民網日本語版」2019年5月29日