これまで「一帯一路(the Belt and Road)」合意の中で、「不平等条約」であったものは1つもない。米国が「一帯一路は主権を害する」論をまき散らすのは、「大国間競争」の観点から、「一帯一路」のイメージを悪くすることで中国と「一帯一路」沿線国の離間を企てるものだ。(文:賈秀東・中国国際問題研究院研究員。人民網掲載の論説「『一帯一路』イニシアティブ:『主権損害論』は成り立たない」より)
近頃、西側の一部政界要人、シンクタンク、メディアは「一帯一路」イニシアティブについて「各国の主権を害する」と主張している。その主な論調は2つある。(1)中国は「債務の罠」によって、プロジェクト支配権の喪失へと「一帯一路」参加国を誘導している(2)中国側企業は出資比率取り決め、長期賃貸契約、長期運営契約などの方法を通じて、「一帯一路」プロジェクトの支配権を獲得し、参加国の主権を「侵害」している――というものだ。こうした論調は事実に反しており、論理的でもない。
第1に、原則から見てみると、「一帯一路」イニシアティブは当初から「共に話し合い、共に建設し、共に分かち合う」原則を堅持し、参加国の主権を十分に尊重することを明らかにしている。イニシアティブは国連憲章の趣旨と原則を堅守し、排他的ではなく、一方通行でもなく、他国に強要することもなく、相互尊重・平等互恵を基礎に、対話・協議・協力を通じてウィンウィンを実現し、参加国はいずれも獲得感を得ている。また、イニシアティブにおける重要で革新的な点は沿線国の発展戦略との連携を推し進めることにある。各国はいずれも発展の権利を有し、各々の発展戦略・計画を持ってもいる。「城下の盟」や「不平等条約」であった「一帯一路」合意は今まで1つもない。
第2に、国レベルから見てみると、中国側は「一帯一路」沿線国の債務の持続可能性の問題を非常に重視しており、プロジェクト協力は他国に強要するものでも、「罠」を仕掛けるものでもない。資金の調達は「五通」(政策の意思疎通、インフラ施設の連結、貿易の円滑化、資金の調達、民心の通じ合い)の1つで、「一帯一路」建設の支えであり、債務の持続可能性は「一帯一路」イニシアティブの持続可能性に関わる。「一帯一路」建設には巨額の投資が必要だが、イニシアティブ参加国は多くが途上国であり、金融システムが未整備で融資ルートが乏しいため、プロジェクトの投融資は困難に直面している。この難題を解決するため、「一帯一路」イニシアティブは新型の協力プラットフォームを構築し、投融資メカニズムを革新し、各種資本の参加を積極的に誘導すべく尽力している。「一帯一路」イニシアティブには中国資本の機関も外資機関も参加しており、これを組み合わせて「一帯一路」資金保障システムを形成している。また、「『一帯一路』融資指導原則」の策定、「『一帯一路』債務持続可能性分析フレームワーク」の発表を含む一連の投融資リスク管理・コントロール措置を打ち出している。
たとえ「一帯一路」沿線国に過大な債務負担という問題があったとしても、「一帯一路」建設プロジェクトと必然的なつながりはない。ある国々の債務は「一帯一路」協力に参加する前から長年かけて積み重なってきたもので、他の国や国際金融機関から大量に借りて形成されたものであり、中国は決して最大の債権者ではない。中国由来の債務は「一帯一路」共同建設プロジェクトの有効投資、有価値資産であり、債務の増加に対応するのは有効資産の増加であり、長期的リターンを得られる資産だ。
第3に、企業レベルから見てみると、「一帯一路」プロジェクトの協力形式は多種多様であり、外部が特定の具体的協力形式を主権の「侵害」とイコールで結ぶのは強引に理屈をこじつけることにほかならない。
「一帯一路」イニシアティブは相互接続に焦点を合わせ、大量のインフラ整備に関わり、そのプロジェクトは往々にして投資規模が大きく、周期が長く、効果が現れるのに時間がかかり、利益が低く、環境が劣り、困難が多く、リスクが大きいが、参加国の経済・社会発展にとって差し迫って必要なものでもある。多くの西側企業は恐れをなして避けているが、中国企業は逆に困難を迎え撃っている。道路、鉄道、港湾、発電所などインフラ整備プロジェクトについては、投資、リターンサイクル、人材・技術などの要素を考慮し、中国企業は現実に基づき、関係国と具体的な協力形式・期限を話し合って決めるのであり、主権問題に関わるわけではない。米国世論の基準では、まさか49%以下の短期出資比率なら主権の「侵害」ではなく、51%以上の長期出資比率なら主権の「侵害」だと言うのだろうか?中国企業が国際的に広く行われているBOT(建設-運営-譲渡)モデルに従いプロジェクトに参加することが、主権の「侵害」だと言うのか?このロジックに従うなら、米国も多くの企業が中国その他多くの国で投資し、BOTに参加しているが、彼らも譲渡前は主権を「侵害」していると言うべきなのだろうか?
中国は「一帯一路」建設をめぐり第三国市場協力の実施を一貫して奨励している。「一帯一路」イニシアティブを打ち出して以来、中国はフランス、イタリア、スペイン、日本、ポルトガルなどと第三国市場協力文書に調印してきた。これは中国が優勢を誇る生産能力や先進国の先進技術、数多くの途上国の発展需要を効果的に結びつけるのに寄与している。キャタピラーやハネウェル、GEといった数多くの米国企業も早い時期から「一帯一路」プロジェクトに参加し、「一帯一路」建設への熱意に溢れている。米国の一部世論のロジックに従うなら、こうした西側諸国及びその企業は、まさか中国による他国の主権「侵害」の共犯者になったとでも言うのだろうか?
米国は「一帯一路は主権を害する」論をまき散らし、「一帯一路」イニシアティブを中傷している。これは「大国間競争」の観点から、「一帯一路」のイメージを悪くすることで中国と「一帯一路」沿線国を離間させ、中国と世界の優れた相互作用の可能性を圧迫しようとする企てだ。
「一帯一路」イニシアティブはすでに国際的に広く歓迎される公共財となっている。米国自身の国際的イメージと長期的利益のため、米側は腐心して「一帯一路」を切り崩そうとするよりも、より一層優遇した借款やさらなる低コスト、より高い効率、そして特に平等・尊重の姿勢で「一帯一路」沿線国の発展を支援するべきだろう。(編集NA)
「人民網日本語版」2019年6月17日