世界の貿易の8割が現在、海上輸送によって行われており、発展途上国の場合この割合がさらに高い。彼らの急成長と脱貧困を支援し、経済グローバル化の仲間入りを果たさせる上で、インフラのボトルネック解消が重要になる。これは彼らを長期的に苦しめている難題でもある。中国はインフラ整備で非常に成功している。潤沢な資金、各種自然環境で施工する能力、独特な経済体制と力強い資金調達能力を形成したほか、独自の優位性を持つ。中国は「一帯一路」イニシアチブを通じ世界の発展に得難いチャンスを提供し、経済グローバル化に新たな活力を注いだ。シンガポール華字紙『聯合早報』(電子版)が伝えた。
過去のグローバル化は主に、資源が南から北に流れるグローバル化だった。先進国の大半が北半球にあり、その技術・資金・管理の優位性により、南半球の発展途上国に注文を出していた。後者はさらに生産した消費財を北半球の先進国に輸出していた。しかし2008年の世界金融危機は先進国の購買力に大きな影響を及ぼし、さらに保護貿易主義が台頭したことで、上述した方向の経済循環が影響を受けた。
一帯一路の建設、特に陸上シルクロードの建設は、発展途上国のエネルギー及び物流の供給力を改善し、経済成長と所得増を促した。発展途上国間の貿易、すなわち南南貿易が拡大した。この横向きの南南の資源流動は、経済グローバル化に新たな方向を与え、南北方向の循環と相互補完を実現した。グローバル化の中身を豊富にし、貿易バランスを整えた。先進国の高品質製品及び技術の輸出も増加し、世界の互恵とウィンウィンが実現された。
一帯一路に関する議論は現在、世界の地政学的な駆け引きに集中している。一帯一路の推進に伴い、中国のソフトパワーと影響力が増強されることは否定できない。しかし中国のイニシアチブが世界発展のため貢献できるならば、その影響力の自然な増強は何か問題になるだろうか。米国は戦後、西欧の復興に貢献し、その見返りを手にした。我々は同じような態度で中国の貢献を認めるべきだ。我々は一帯一路よりも理想的なプランを見つけることができるだろうか?(筆者・顧清揚 シンガポール国立大学リー・クアンユー公共政策大学院准教授)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2019年11月8日