「米国が世界貿易戦争で新たな戦線を切り開いた」現地時間2日、ホワイトハウスは突如「関税旋風」を巻き起こした。国際メディアは不意を突かれ、国際市場が戦々恐々とした。まずトランプ米大統領は「通貨安により米国の農家が損失をこうむっている」ことを理由に、ブラジル及びアルゼンチンの鉄鋼・アルミニウム製品に関税を課すとツイッターで表明した。これに続き米通商代表部は、フランスのデジタルサービス税への対抗措置として、24億ドル相当のフランス製品に最高100%の追加関税を課すことを検討中と発表した。世界経済が低迷するなか、米国による貿易戦争がもたらした不確実性は、世界の経済発展の足を引っ張る張本人とされている。わがままな米国が新たに関税の棍棒を振るい、国際社会にため息をつかせている。米国を含む多くの国の株価が下落した。最も失望しているのはブラジルだ。ブラジルのボルソナーロ大統領は就任後、トランプ氏に親しみを示してきたが、ホワイトハウスから「不意打ち」を受けた。豪ジ・エイジ紙は、「深夜のツイートにより衝撃を受けるとは、米国を長く支持してきた同盟国が手にする特殊な地位はかくも脆弱だ」とため息を漏らした。
同じく2日、米国は欧州の同盟国であるフランスに対しても、追加関税の脅迫を行った。ライトハイザー米通商代表は、5カ月をかけた調査の結果を公表した。フランスのデジタルサービス税は米国のIT企業を「差別」するものであり、米国はこれに反撃すべきとの結論が導き出された。フランス産のチーズ、ヨーグルト、スパークリングワイン、化粧品など24億ドル相当のフランス製品に最高100%の追加関税を課すとした。
仏フィガロ紙によると、フランスはこれに直ちに反応した。アニエス・パニエ=リュナシェ経済・財務大臣付副大臣は3日、メディアに「フランスはより好戦的になる」と述べた。また米国が経済協力開発機構がデジタルサービス税について取りまとめた合意内容を守らず、交渉の継続を拒否していると批判した。ル・メール経済・財務大臣は、「米国のやり方は受け入れられない。この行為はフランスや欧州の同盟国に対する期待に合致しない。米国が新たな制裁を実施すれば、EUはこれに強く反撃する」と述べた。欧州委員会の報道官は同日、EUは米国の関税の脅威に一致団結し対応するとし、米政府に対話を呼びかけた。
トランプ氏は3日、英国でNATO首脳会議に出席した際に、「それらの企業は米国企業であり、課税もフランスではなく米国によって行われる」と述べた。ロイター通信の記事によると、米通商代表部は2日、エアバスが支給される補助金をめぐる問題に「進展がまったくない」ため、米国はより多くの欧州製品に対する報復関税を引き上げることを検討すると表明した。しかし米国側は詳細な内容を明らかにしなかった。
ワシントン・ポストによると、新たな関税措置は、大西洋を跨ぐ貿易摩擦を激化させる可能性がある。2020年の大統領選まで1年を切るなか、新たな保護主義が台頭している。ホワイトハウスの関税再開は、今後もしくは現在行われている交渉に暗い影を落とす可能性がある。米戦略国際問題研究所の学者であるウィリアム・ラインシュ氏は、「これは多くの人を緊張させるはずだ。これはおかしなことで、このような事が起こるならば、交渉には何の意義もなくなる」と述べた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2019年12月4日