世界価値観調査(World Values Survey)のデータによると、「技術発展へのさらなる重視」を良いことと回答した中国人は78%だったが、米国は49%のみだった。そのため中米両国民の科学技術発展に対する態度に大きな差があることが分かる。これは未来の発展に異なる影響を及ぼす。
近現代史の特殊性により、中国の科学技術発展は一定の歴史的時期において、比較的立ち遅れていた。しかし新中国成立後は科学技術の発展を非常に重視し、改革開放はさらに新たな活力を注いだ。今日の中国は多くの科学技術分野で世界トップ水準に迫っており、一部ではトップ水準に到達している。国民も科学技術発展がもたらす利便性を手にしている。どこでも目にすることのできるQRコード決済、スムーズなネット通販などにより、中国を旅行する外国人は「中国の暮らしは便利だ」と感嘆を漏らしている。
米国は産業革命後の長期に渡り安定的に発展し、科学技術に長期的に取り組み、高水準科学技術人材の育成・導入制度が成熟している。米国人も早くから科学技術により民族の自信を手にし、効率的な生産と便利な生活を実現している。同時に彼らは早くも科学技術がもたらす副作用を目にした。核実験でぼろぼろになったマーシャル諸島ビキニ環礁は、彼らに科学技術の恐ろしい一面を深く印象づけた。個人の空間とプライバシーへの重視を強める社会において、彼らはインターネット上の不安感により、科学技術の発展に抵抗、さらには恐怖を覚えている。科学技術の別の面への警戒は進歩を示していると言えるが、この懸念と恐怖により未来への意欲を抑えれば、現状に甘んじる逃避に近い。これはまた米国がすでに急成長の段階を終え、緩慢に発展する時期を迎えており、未来の向上心よりも既存の成果に基づく保守的な態度の方が強いことを反映している。
科学技術の発展は総合的な社会問題であり、社会の枠組みから外れて技術発展の良し悪しを議論しても何の意義もない。技術そのものに善悪の差はなく、それは誰の手に握られ、何に用いられるかによって決まる。科学技術の価値は、社会の進歩に道具と動力をもたらす。人類は自然及び人類そのものを模索するより多くの時間と能力を手にすることができる。科学技術の発展は問題ではなく、問題を解決する術だ。荒削りな科学技術の発展を放任することで生じる一面を認識できれば、それは一つの進歩だ。同時に我々はミスによって前進を恐れ、諦めてはならない。科学的倫理と規範を積極的に打ち立て、科学技術の発展にナビゲーションを搭載し、境界と方向をはっきりさせるべきだ。
中国人は科学技術の力を理解し、これを求めようとするようになった。未来の技術発展にも意欲的だ。これは一つの国及び社会が、進歩の活力を維持しようとしているということだ。我々は科学技術の発展の歴史で他国が犯した過ちを教訓にすべきだ。彼らが先に手にした成績については、我々は果敢にこれを猛追する自信と勇気を持つべきだ。(筆者・李長亮 中国人工知能学会の学者)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2019年12月15日