世界経済フォーラム(WEF)は先日発表した「グローバルリスク報告書2020」で「経済的対抗」と「国内政治の両極化」を最大のリスクとして挙げ、2020年は分断が激化し、経済成長が鈍化する年になるとの認識を示した。これは経済のグローバル化が深く進行しているものの、経済的な分断さらには対抗のリスクを依然警戒すべきであることを改めて指摘するものだ。経済のグローバル化の過程でいかにして難題を解決するか。世界は的確で実行可能な方法を示すことを差し迫って必要としている。(人民日報「鐘声」国際論評)
経済のグローバル化を客観的に認識することは依然として喫緊の課題だ。世界を悩ませている問題は多く、全てを経済グローバル化のせいにするのは偏った見方だ。早くも3年前に習近平国家主席はWEF年次総会(ダボス会議)で、経済のグローバル化を弁証法的に見て、難題を的確に解決する道を示した。「経済のグローバル化が新たな問題をもたらしたのは確かだが、だからと言って経済のグローバル化を全面的に否定するわけにはいかない。経済のグローバル化に適応し、うまく誘導して、経済のグローバル化の負の影響を解消し、各国・各民族により良く恩恵をもたらすようにする必要がある」。
経済のグローバル化の過程で難題を解決するうえで、第一の課題は世界の発展のパイを大きくすることだ。世界経済が下降する時、世界経済のパイを大きくするのは容易ではなく、小さくなりさえする。すると各方面の摩擦が一層際立ち、先進国も途上国も圧力や打撃を感じる。摩擦と問題を前に、各国はよりオープンな心で、連携して世界経済ガバナンスを強化し、共にグローバル市場のパイを大きくし、全世界が共有できるメカニズムを確かなものにし、全世界が協力する方法を活性化するべきだ。こうしてこそ経済のグローバル化の原動力は一層充足し、発展のボーナスはさらに多くの国や地域に恩恵をもたらす。
経済のグローバル化の過程で難題を解決するには、パイをうまく分ける必要もある。一部の先進国を始め、階層利益が固定化し、貧富の格差が拡大し続けていることで、国内問題が噴出している国が少なくない。これは経済のグローバル化自体の問題では決してなく、国内ガバナンスの問題だ。国内ガバナンスの問題を他国のせいにし、いわゆる経済のグローバル化に対する恐れから「鎖国」へと向かっては、袋小路に入るだけだ。改革を深め続け、成長と分配、資本と労働、効率と公平などの矛盾をうまく解決して初めて、出口を見出すことができる。
独ベルテルスマン財団が先日発表した統計では、1980年から2016年までに世界貿易機関(WTO)加盟国の名目輸出額は14%増加したが、非加盟国は資産も輸出も減少した。このコントラストは、経済のグローバル化に融けこみ、経済のグローバル化を後押しすることが、各国の発展のニーズに符合し、各国の人々の利益にかなう正しい選択であることを力強く証明している。経済のグローバル化の展望について、WTO前事務局長のラミー氏は「私は依然として、経済のグローバル化にはまだ歩むことのできる道が長くあると信じており、我々はそのもたらす負の影響を解決すると同時に、そのもたらすボーナスを享受することができると考えている。中国が最良の例だ。中国はグローバル化の過程で受益するとともに、グローバル化に貢献した」と指摘した。中国の秘訣は何か?それは揺るぎなく開放を拡大し、経済のグローバル化に融けこむと同時に、人々中心の発展思想を堅持し、発展の成果が中国の全ての人々に恩恵をもたらすようにしていることだ。
習主席の「ダボス演説」は、経済のグローバル化を守り、世界経済が苦境を脱すための先頭に立つという「中国宣言」だったと国際ウォッチャーは見ている。この宣言の深く意味することを考える人々は、WEF創設者のシュワブ氏が同じ年に打ち出したイニシアティブからも啓発を得られる。「グローバル化に関して、我々には新しいストーリーが必要だ。中国の思想、中国の行動は世界のパートナーと手を携えて記す経済のグローバル化の新しいストーリーだ。こうしたストーリーが多いほど、開放的・包摂的であまねく恩恵を及ぼす、均衡あるウィンウインの新しいタイプの経済のグローバル化を後押しでき、開放型世界経済の構築に一層寄与でき、世界の平和と安定の促進、共同発展・共同繁栄・共同富裕の実現に寄与できる」。(編集NA)
「人民網日本語版」2020年1月20日