世界で蔓延する新型コロナウイルス肺炎は、今年最大の「ブラックスワン」とされている。環球時報の感染症の最新状況について、世界保健機関(WHO)のタリク・ヤシャレビチ報道官を取材した。
環球時報:WHOは油断大敵と何度も警告していたが、感染症はなぜ最終的に西側を含む各国に蔓延したのか。
ヤシャレビチ氏:感染者を報告する国が増えており、特に衛生体制が比較的脆弱な国について深く懸念している。新型コロナウイルスは貧富を問わず、すべての国にとって脅威だ。以前話していたように、高所得国であっても警戒を維持する必要がある。解決策は積極的な準備と対策だ。
WHOのテドロス事務局長は以前、普遍的に適用される措置によりウイルスの拡散と影響を抑えられることは、中国と他国の行動によって証明されていると述べた。これらの行動には、全社会による患者の調査・治療、接触者の追跡、患者急増に向けた病院及び診療所の受け入れ体制の構築、衛生担当者の訓練が含まれる。WHOはすべての国に対して、感染者の増加とウイルス拡散を抑制するため、引き続き努力するよう呼びかける。対策を講じず感染症の蔓延を放任することは、いかなる政府の選択肢であってもならない。これは自国民を損ね、他国にも害を及ぼす。
環球時報:WHOは中国の取り組みを何度も積極的に評価しているが、西側の一部ではWHOが中国の圧力に屈したと言われている。これについてはどう論評するか。
ヤシャレビチ氏:我々の中国への評価は明白であり、科学を根拠とした事実である。
(一)力強い公衆衛生能力。中国は過去20年で感染症及び突発的な衛生事件の診断・治療・管理能力が大幅に向上した。中国の対応力はSARS以降、大幅に向上した。
(二)観測能力が大幅に強化。中国は力強い観測システムを構築している。これにはインフルエンザ、肺炎、その他の疾病の観測及び報告、異常な患者の発見などが含まれる。WHOはその他のパートナー及び中国と協力しこのシステムを構築した。中国が最も早く武漢市で新型コロナウイルスを発見できたのは、このウイルスのおかげだ。
(三)遺伝子配列データを速やかに共有。中国は最短期間内にWHO及び各国と新型コロナウイルスの遺伝子配列を共有した。これはウイルスの他国への拡散防止を促した。
(四)かつてない反応。中国域外の感染者が比較的少ないのは、中国政府が緊急事態に対応し、他国を保護するため取り組んだからだ。
(五)科学的な協力。中国は積極的にWHOのすべての専門家ネットワークに加入した。これには免疫計画・衛生行動の拡大、臨床管理、実験室ネットワーク、治療手段、ワクチン開発などが含まれる。またこれらの場を通じ、その経験と知識を毎日共有している。中国は感染対策において、WHOの国際専門家チームによる中国視察を歓迎した。
環球時報:新型コロナウイルスの感染源が中国だとこだわる人がいるが、WHOはどのような観点を持っているか。
ヤシャレビチ氏:今回の新型コロナウイルスが、コウモリの間で感染する既知のコロナウイルスとつながりを持ち、正確に言えばキクガシラコウモリの亜種であることを示す証拠が増えている。しかしウイルスが最も早く人に感染したルートについては現時点では不明だ。現在最も可能性が高い仮説は、ある動物が感染の中で中間宿主になったということだ。国内外の専門家は、この新型ウイルスの動物の感染源を探すため取り組んでいる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2020年3月12日