国連食糧農業機関(FAO)は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大による労働力の不足とサプライチェーンの中断により、一部の国及び地域の食糧安全に影響が生じる可能性があると発表した。
FAOは公式サイトで「速やかに行動し、最も脆弱な部分を守り、世界食糧サプライチェーンの円滑性を保証し、感染蔓延の食糧システム全体への影響を弱めなければ、食糧危機が間近に迫るリスクがある」と表明した。
FAOは最悪の状況が4月、もしくは5月に生じると予想した。
FAOによると、食糧はすでに各方面で数多くの挑戦に直面している(食糧輸送や家畜の飼育など)。しかし現在のところ食品供給は依然として十分であり、食糧産業が受けている影響は少ない。ただし肉類を含む腐りやすい食品など、高付加価値農産物の価格上昇の可能性が高い。主要食糧は現在、十分に供給されている。
米CNNは25日、米国の鶏卵販売量が3月14日までの1週間に渡り、前年同期比で44%激増したと報じた。鶏卵卸売価格は3月上旬以降で180%上昇している。米ウォルマートなどの大型チェーン小売業者は最近、鶏卵など買い占めが発生している商品の販売制限を開始した。
米フィッチ・レーティングスは、重要生産地域の気候条件が良好であるため、2020−21年の収穫の先行きを楽観でき、食糧は相対的に見て十分であると判断した。
フィッチは研究報告書の中で、「先進国における穀物栽培は通常、人口密度の低い大型農場で行われ、感染症の影響を受けにくい。しかし労働集約型業界、例えばパームオイルなどの栽培業、生肉処理などの加工業の人員は感染のリスクが高い。そのため臨時の封鎖措置が必要だ」とした。
マレーシア最大のパームオイル生産地であるサバ州は3地域のパームオイル農園の閉鎖を命じた。一部の従業員が新型コロナウイルスの検査で陽性反応を示したからだ。
フィッチは、一部の食糧が十分に供給されても、過度な買い占めや取引の制限が生じることで食糧危機のリスクが拡大する恐れがあるとした。
米CNBCによると、ベトナムは米の輸出制限を開始しており、ロシアも精白した穀物の輸出を停止した。カザフスタンは小麦粉、蕎麦、砂糖、ひまわり油、一部野菜の輸出を停止した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2020年3月31日