欧州の感染状況に頭打ちの傾向が見られる。米国で感染状況が最も深刻なニューヨーク州でも新規感染者と死者がいずれも減少するという変化があった。これは過去一定期間に渡る措置が奏功したことを意味するが、欧米の感染状況が「ターニングポイント」を迎えたとは言い難い。また頭打ちの傾向が見られるからといって、欧米から絶えず伝わる再稼働計画を支持するのも無理がある。欧州の主要感染国では現在、1日あたりの感染者と死者が中国全体のピーク時を上回っている。米国については言うまでもなく、1日あたりの感染者はまだ2万人以上、死者は1000人以上となっている。疫学的に見ると、感染症は欧米でまだ非常に深刻な状況だ。「環球時報」が伝えた。
EUは先ほど厳格な規制措置を解除するロードマップを発表した。その条件は感染者の大幅な減少、病院のより多くの新規感染者の受入能力の確保だ。EUがこのような低い基準を掲げたことにはやむなき事情があるのだろう。この指導に基づくと、多くの欧州諸国はある程度基準を満たしており、経済活動を再開できる。
米国にはこのような公式文書がないが、当局者らはEUよりも大きな焦りを示している。彼らも経済回復と感染対策の間でバランスを見いだすと述べている。しかしこのバランスの方向と重心は感染症による死者の減少ではなく、経済の方にあるようだ。
経済活動は全世界にとって基礎的なものだ。ところが今回の感染症は、我々人類がこれまで知らなかった壊滅的な力を持つことを証明した。経済回復は安全を前提とし、感染の大規模なぶり返しを回避しなければならない。さもなければ、再び回り始めた経済活動に持続可能性が備わらない。この理屈はほぼ常識的と言える。我々はこの常識が一部の国で再び無視されることを懸念する。
世界保健機関(WHO)は防疫措置解除について、次の条件を示した。例えば感染状況がコントロールされているか、すべての新規感染者とその濃厚接触者を追跡・隔離する能力があるか、職場や人が密集する場所で予防措置が講じられているかなどだ。これらの条件はより科学的だが、2つ目の条件は欧米諸国で最も不十分で、3つ目にも大きな不確実性がある。
最も重要なことは、経済回復と感染抑制の間のいかなるバランスも非常に脆弱であることだ。感染の大きなぶり返しが生じれば、その破壊力が壊滅的であることはすでに証明されている。欧米の一部の人は「集団免疫」の考えを捨てていない。しかし欧米の感染状況が頭打ちしているのは、集団免疫を拒否しソーシャルディスタンスを維持するという、積極的な防疫措置の結果であると言わなければならない。
欧米諸国の現在の状況は、本当に集団免疫をつけるための条件がまったく揃っていない。彼らも実際には自国社会が受け入れられる最大限の力で防疫を行っている。防疫を緩めれば、感染ぶり返しのリスクが非常に高くなる。
欧米で感染がぶり返せば、あるいは世界的に感染の震源地が転々とすれば、災いがいつまでも続くことになる。中国は現在、域外からの感染者輸入を厳重に防止し、感染ぶり返しの回避を最低限の条件とする操業再開と防疫の苦しいバランスを見いだそうとしている。我々は無鉄砲に経済活動を再開できないと痛感しており、またどの国であっても自分だけは大丈夫と思えないことを痛感している。この感染症を迎えた各国は、いかなる時よりも運命共同体に近づいている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2020年4月15日