各国首脳はこの会議において、共同感染対策の強い意向、集団行動に向けた具体的な提案を強調した。さらに重要なことは、各国が手を携え地域内の社会・経済の活力を取り戻すため取り組む意向を示したことだ。中国側はこの特別会議で「重要かつ必要な人員往来に向けスムーズなルートを開設する」「さらに関税を減免し、障壁を撤去し、貿易を円滑にし、投資を促進する」「ASEAN感染対策特別基金の設立を支持する」「10+3緊急医療物資備蓄センターを設立する」と主張した。各国首脳から支持・反応を得た。
特に重視すべきは、今回の会議の最後に「特別会議共同声明」が発表されたことだ。過去23年に渡り、10+3首脳会議は共同声明を3回しか発表していない。これはいずれも重要な時期に未来の東アジア協力戦略を確定するため発表される重要な文書だ。東アジア諸国が今回、共同感染対策及び経済回復に向け共同声明を発表したことに、非常に重要な意義があることが分かる。共同声明を見ると、各国が共同かつ効果的な感染対策を着眼点とし、さらに未来の地域経済協力の方針を示したことが分かる。
また今回の会議は協力推進に向け、次の操作可能な措置を掲げた。
(1)メカニズムの力を発揮する。各国は10+3の枠組み内の関連分野のメカニズムにより、資金を調達し、地域の予防・検査を強化し感染症に対応する決意を下す。(2)「能力の建設」を行う。各国及び地域の感染症への対応力を強調し、疫学科学研究協力能力訓練を行い、公衆衛生の人的資源及び能力の建設を支持する。(3)「金融の段取り」を行う。東アジアの一連の協力基金及び地域的銀行を通じ資金を調達し、共に感染症に対応し経済の活力を取り戻す。(4)サプライチェーンの建設を強化する。アフターコロナの回復推進に共に取り組み、経済発展を促進する。地域内のサプライチェーンの強靭性と持続可能性を確保する。(5)経済の活力を維持するため便宜を図る。社会・経済の回復に取り組む各種人員に対して、地域内の流動の便宜を図る。(6)責任の所在を明らかにする。各国の外交部長が措置の実施の「調整者」になり、関連分野のメカニズムの緊密な協力を保証する。
これらの内容は東アジアの協力のさらなるアップグレードを示している。すなわちメカニズムの建設を強調し、能力の建設を重視し、協力に向け金融サポートを提供し、サプライチェーン・産業チェーンの地域の基礎を固めるということだ。東南アジアと北東アジアという2つの地域は、関心を寄せる政治安全及び社会・経済事業が異なるが、ひょうたんの上下のように切り離すことのできない全体だ。これは東アジアの全体的な一体感と一体化の需要を決めている。
筆者はかつて「平軸モデル」により、東アジア統合のプロセスと様式を定義したことがある。新型コロナウイルス感染症の同じ経験、経済回復の共同の挑戦を受け、危機を機会とし、これを東アジア協力のアップグレードの新たなチャンスに変えるべきだ。各国の実務的な協力を通じ、物資供給のメカニズムの構築を推進し、金融・産業の制度的な協力を実現し、最終的に命が相つながる、運命を共にする地域共同体を建設するべきだ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2020年4月20日