新型コロナウイルス感染症が世界経済の深刻な損失を生んでいる。香港の3月の商品輸出額も振るわず、うち対欧米市場の輸出が大きく減少した。中国大陸部への輸出は流れに逆らい増加した。専門家は、「大陸部の経済が徐々に安定化に向かうなか、香港は大陸部市場のチャンスをつかみ、通年の輸出情勢を安定させ、現地経済を振興するため取り組むべきだ」と指摘した。
香港特区政府統計処のデータによると、香港の3月全体の輸出額は前年同月比5.8%減の3236億香港ドルで、2月の4.3%のプラス成長に及ばなかった。うち対欧米輸出が大幅に減少した。対英国輸出額は34.2%減で、ドイツは33.1%減、米国は29.3%減。またシンガポールやインドなどの多くのアジア諸国への輸出額も大きく減少した。
香港の経済学者、シルクロード智谷研究院長の梁海明氏は「欧米諸国で最近、感染が拡大している。世界の製造産業チェーンへの影響は雪だるま式に拡大しており、世界経済活動の萎縮が深刻だ。これは香港の輸出入全体の足を引っ張っている」と述べた。
世界的な貿易が不況に陥るなか、香港の3月の対大陸部輸出額は前年同月比で8.4%増となり、同月のデータのうち貴重な見どころとなった。
大陸部の感染対策情勢は3月以降に持続的に好転しており、操業再開が推進されている。専門家は「大陸部の今年第1四半期のGDP成長率(前年同期比)は大幅に低下したが、先月には主要経済指標が安定しつつ回復する流れを示しており、香港の輸出に対して重要な安定効果を発揮した」と指摘した。
暴力事件と新型コロナの二重のダメージを受ける香港経済は今年、大きな低迷の圧力に直面する。対外貿易は香港現地のGDPの2割弱を占めており、経済安定化に重要な影響を生む。
香港嶺南大学中国経済研究部副総監の周文港氏は、「香港の今後の輸出は主に、正常な通関がいつ再開されるかや、海外の感染症の発展、海運・空輸の輸送能力の回復などの要素に左右される。西側諸国で感染が比較的深刻であることから、香港の伝統的な貿易パートナーに対する輸出額の大きな影響が不可避となる」と指摘した。
梁氏は、「今年第2四半期の香港の輸出額は、5−10%ほどのマイナス成長になる。通年の業績を楽観できない。海外市場では今年、輸入品の需要の疲弊が続き、引き続き香港の輸出の足を引っ張ることになる」と予想した。
専門家は、感染状況の発展段階が異なることから、海外市場及び大陸部市場の二極化が生じると指摘した。大陸部の経済安定化、需要のゆるやかな回復、人々の消費意欲の高まりが香港の輸出を支え、けん引することになるという。
データによると、大陸部は近年香港にとって最大の輸出先の位置を保っており、香港の輸出額の過半数を占めている。大陸部の今年の経済運行はV字回復する可能性が高く、消費の盛り返しがこれまでの損失を補い、香港の輸出回復を力強く支えると分析されている。
梁氏は次のように述べた。
長期的に見ると、香港の貿易会社は大陸部の14億人の大市場をしっかり把握するべきだ。多くのイノベーション・テック型の中小貿易会社は各種手段により、大陸部の新インフラの発展に柔軟に参与できる。新しい消費の需要を満たし、新たな発展のボーナスを手にすることができる。
この成長の高速列車に便乗し、発展のボーナスを共有することで、香港の貿易を振興し、香港の多くの若者により広大な発展の空間、より多くの雇用枠を創出できる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2020年4月29日