米政府の経済活動再開の取り組みが壁にぶつかった。トランプ大統領の周辺で働く職員1人、ペンス副大統領の報道官が先ほど、新型コロナウイルスの感染が確認された。米国の「感染対策隊長」であるファウチ氏を含むホワイトハウスの新型コロナウイルス対策チームの高官3人が、全面的もしくは「ある程度」の隔離状態に入った。米メディアはこれについて、米国は新型コロナウイルスの脅威にほぼ勝利したと称しているトランプ政権にとって「不都合な真実」に相違ないと伝えた。ペンス氏の報道官は10日、副大統領は隔離を予定しておらず、11日にホワイトハウスに戻る予定と表明した。同報道官によると、米政府は今のところ、トランプ氏とペンス氏の接触制限を検討していない。ウイルスがトランプ氏の身辺に蔓延していることを受け、米国民は「大統領と副大統領の健康さえ保証されていないのに、国民を守ることができるのか」「全職員に毎週1回以上の検査を行うホワイトハウスでさえ今や感染警報を発令しているが、このような検査能力を持たない米国企業は安心して操業再開できるのか」という不安を抱いている。
ウイルスがすでにホワイトハウスのウエストウイングまで侵入しているが、トランプ氏は米国疾病予防管理センター(CDC)の提案を無視し続け、先週土曜日に軍当局者と会った際にもマスクを着用しなかった。米オンラインジャーナルの10日の記事によると、ミラー氏(副大統領報道官)の感染が確認された同日、ペンス氏はアイオワ州で経済再開の推進を目指すラウンドテーブルに出席していた。ペンス氏が登壇する前、食品業界の5人の出席者がマスクを外すよう求められた。この奇妙な要求は、ウイルス感染に関する衛生の提案をホワイトハウスが頑なに無視し、健康を守るマスクを「政治宣言」に変えていることを浮き彫りにした。
ホワイトハウスの感染発生は、ホワイトハウスのウイルス感染対策チームが国民に医学と科学の情報を提供する報告会を停止した時期と重なる。米ニュースサイトのポリティコは10日、前回の報告会が開かれてから2週間になるが、現在はその代わりにマッケナニー氏が音頭を取るメディア交流会が開かれていると伝えた。ホワイトハウスが感染対策チームを解散するという情報があったため、トランプ政権が経済再開の「応援団長」になるなか、政府トップレベルの健康専門家の声が小さくなることへの懸念が深まっている。
CNNは、この過去百年で最も深刻な公衆衛生の危機において、ファウチ氏やホワイトハウスの感染対策チームのバークス調整官のような専門家が逆に目立たなくなっていると伝えた。トランプ政権は先週日曜日、公衆衛生専門家ではなくムニューシン財務長官、クドロー国家経済会議委員長、ケビン・ハセット氏ら高官をインタビュー番組に送り、失業データについて議論させた。彼らは検査や勤務先の安全などの問題に答えざるを得なかったが、彼らは科学的な知識をまったく持ち合わせていなかった。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2020年5月12日