世界には中日韓を中心とする東アジア生産ネットワーク、独仏伊を中心とする欧州生産ネットワーク、米国・メキシコ・カナダを中心とする北米生産ネットワークという3大生産ネットワークがある。これらは前後して新型コロナウイルス感染症の深刻な衝撃を受けた。世界の産業チェーン、サプライチェーン、バリューチェーンが深い影響を受けた。
グローバル化に深く参与し、国際的な分業関係がより緊密で技術の複雑性が高い地域ほど、新型コロナから大きなダメージを受けている。例えば東アジアと北米の生産ネットワークにおいては、電子情報や自動車などの業界のダメージが大きい。感染状況の安定は、産業チェーン、バリューチェーンの回復の重要条件だ。現在の感染対策情勢を見ると、中日韓及びASEANで先に安定に向かっている。この地域が感染のぶり返しを予防し、モノ・ビジネス・ヒトの流れをスムーズにし、産業チェーンとバリューチェーンを回復できるかが1つの試練になる。
これにはまず、東アジア諸国が流行の第2弾を共同防止できるかという前提条件がある。現時点で中国、日本、韓国、及びシンガポールなどのASEAN諸国が国内の感染症を上手くコントロールしているが、ぶり返しのリスクは依然として残されている。世界的な第2波が訪れるか、訪れるならいつかは未知数だ。東アジア諸国は現在、防疫常態化の実現を模索している。防疫常態化における全チェーンの協力、共同感染対策を実現できるかが極めて重要だ。
次に、感染状況の安定を踏まえた上で、産業チェーンの安定、サプライチェーンの円滑化、バリューチェーンの向上を実現するため、東アジアは次の3つの問題を解消しなければならない。
(一)需要はどこにあるか、受注はどこにあるか。かつて世界の生産システムの分配において、米国と欧州が世界に市場と技術を提供した。東アジアは世界に製造及び人的資源を提供した。中東とアフリカは世界に主にエネルギーと資源を提供した。つまり東アジアで生産された製品は主に欧米向けに販売されていたことになる。今や欧米の感染状況は依然として深刻で、需要に大きな損害が生じた。東アジアの産業チェーンが回復し、サプライチェーンが円滑化したとしても、生産された製品をどこに売れば良いのだろうか。これは東アジア諸国に次の共通する問題を突きつける。共同で内需・消費・投資・輸入を拡大し、相互にチャンスを創出するべきか。これは実際には利益共同体の概念だ。