(二)重要な技術、設備、部品、原材料をどうするか。これらの重要技術は欧米から得られていたが、欧米のサプライチェーンは現在重傷を負っている。多くの重要部品、材料、一部の設備のチェーンと供給が断裂しているが、この不足をいかに解消すべきか。昨年の日韓の貿易戦争において、日本が半導体の3種の重要原材料の対韓輸出を禁じた際に、韓国は中国企業から代替原材料を調達しようとした。このように、実際には東アジア生産ネットワーク内にも、代替品と予備品が存在する。中日韓などの国は東アジア生産ネットワークにおける予備計画を共同で開始し、感染症による欧米生産ネットワークの停止によるチェーン・供給断裂の問題を解消できるだろうか。
(三)いかに効果的かつ適度にその他の地域の国と企業を受け入れるか。東アジア生産ネットワークと欧米生産ネットワーク、特に米国のグローバル企業との間には切っても切れないつながりがある。東アジア生産ネットワークを先に回復・発展させるという主張は、これが閉鎖的なシステムになることを意味しない。開放的な地域主義は常に東アジア生産ネットワークの特徴で、協力の意向を持つ欧米諸国のグローバル企業、ビジネス機関などによるすべての分野への加入を歓迎する。ロシア、インド、パキスタン、アフリカ、中東、ラテンアメリカなどに対しても同じく歓迎・開放の態度を持つ。
最後に、これまでの地域一体化を巡る協力の推進を考えると、中日韓とASEAN諸国には協力により産業チェーンを安定させ、サプライチェーンを円滑にし、バリューチェーンを高める確かな制度・民意の基礎がある。10プラス3協力枠組み、中日韓自由貿易協定、RCEP、FTAAPなどの既存の枠組みを十分に活用できる。また政府、企業、社会各界の共同推進により新たな枠組みの構築を模索できる。例えば中韓は4月末に、両国の重要なビジネス、物流、生産、技術サービスに必要な人員往来の「高速ルート」の構築を宣言した。東アジア内の関連協力の新枠組みに向け有益な試みを行った。
開放主義が主導する東アジア生産ネットワークの回復と発展は、地域諸国のためになることであり、世界経済の安定・発展への貢献でもある。(筆者・張燕生 中国国際経済交流センター首席研究員)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2020年5月12日