シンガポール紙『ザ・ストレーツ・タイムズ』は16日、「新型コロナ、東南アジアは米中のパワーの駆け引きをどう見るか」と題した記事を掲載した。要旨は下記の通り。
新型コロナウイルスの感染状況が中国で悪化した際に、東南アジアの多くの国がこの隣国に医療用品を送り、善意を示し声援を送った。中国で感染状況が抑制され、ウイルスが東南アジアに蔓延するに伴い、中国政府は善意に応え始め、地域の多くの国に医療用品を送り、医療専門家を派遣した。気前のいい中国は各国から普遍的に感謝された。あまり知られていないことだが、米国もこの地域に技術と資金の援助を提供している。東南アジアにおいて、戦略的なライバルである中米は、同地域の感染対策を支援し人気を取ろうとしているようだ。
これらの国にとって、大国である中国は経済面で非常に重要だ。中国はASEANにとって最大の貿易パートナーであり、地域の重要な投資家でもある(特に「一帯一路」イニシアチブが始まってから)。中国の東南アジアにおける影響力が弱まることはない。実際にエコノミスト・インテリジェンス・ユニットは感染症後の地政学に関する報告書の中で、中国は感染症の危機において抜きん出て、政治及び経済のより大きな参画者になる可能性が高いとした。
同地域の各国は中米及び日印などの大国との間でバランスを保とうとしている。例えばユソフ・イサーク東南アジア研究所の研究員である黎洪和氏は、米空母「ルーズベルト」がベトナムを訪問した際に、記事の中で「ベトナムは米政府との交流を慎重に調整すると同時に、中国政府との交流への注目も強めている」と指摘した。
フィリピンはかつて米国の揺るぎない同盟国だったが、近年は中国側に傾いている。インドネシアについて、米イースト・ウエスト・センターが最近行った世論調査にはこんな回答があった。インドネシアは中国及び中国人に対して複雑な心理を持っており、(米国により)中国とのバランスを取ろうとしている。ところが中米が対抗すれば、米国側からの圧力がインドネシアの自主権を侵食し、米国とインドネシアの関係が弱まる可能性があるというのだ。マニラ駐在の政治アナリストのリチャード・ハイダリアン氏は「良きにつけ悪しきにつけ、中国は世界に影響を及ぼす強い地位を占める」と述べた。
シンガポールのラジャラトナム国際研究大学院(RSIS)の客員上席研究員は先ほど、「マレーシア及びASEANの隣国が現在より変化と乱れが激しい多極化の世界に置かれているならば、南中国海における野心については注意と注目が必要だが、中国と真剣かつ率直な接触を続けることは自然なことだ」と述べた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2020年5月18日