ティックトックへの「極刑」、死ぬのは自由市場

ティックトックへの「極刑」、死ぬのは自由市場。

タグ:ティックトック 米国 

発信時間:2020-08-04 16:50:19 | チャイナネット | 編集者にメールを送る


 米国は最近、TikTok(ティックトック)に圧力をかける一連の措置を講じている。

 

 ポンペオ氏がティックトックに最も厳しい調査を行うと公言し、上院が「2021年国防授権法」に基づき連邦政府職員に対して政府支給の端末での利用を禁止したことに続き、トランプ氏はティックトックの米国事業を全面的に禁止すると公言した。これを受け、マイクロソフト(MS)はティックトックを運営する字節跳動と交渉し、米国事業の他にカナダ、豪州、NZなどの国の関連事業を買収しようとしている。最新情報によると、トランプ氏は45日内に双方が最終合意に達すればよいが、さもなければ「極刑」を下すとした。

 

 中国の民間テック企業に米政府はこれほど大掛かりな動きを見せている。トランプ氏の立場は二転三転した。血を好むテック大手も牙をむき出しにし、ティックトックを噛み砕こうとしている。

 

 科学技術への圧力。トランプ氏は大統領就任後、中国の科学技術に対する圧力を強め続け、範囲も広げ続けている。これは米国の経済競争の優位性を保ち、中国の科学技術の台頭をけん制するためだ。しかしZTEやファーウェイなどの中国テック企業に対する重要技術及び部品の「首絞め」を行う米国と異なり、トランプ政権はティックトックを完全に米国市場から締め出すか、米国企業にその全事業を引き継がせようとしている。しかもポンペオ氏はさらに多くの中国テック企業に手を下すと発言している。中国の科学技術に圧力をかける米国はすでに忍耐を失い、際限がなくなっており、偽装するのも面倒になっているほどだ。

 

 政治的な需要。ティックトックの影響力が日増しに拡大し、米国で多くの若いユーザーを獲得するなか、米国では文化的・政治的な極度な自信喪失が生じている。ティックトックに圧力をかけることで米国の政治的・価値観的な安全を守る必要がある。また米国で新型コロナウイルスの感染拡大が続き、第二次大戦後で最悪の経済後退が生じ、社会の動乱のエスカレートが続き、選挙政治が極度に引き裂かれ、トランプ氏の大統領選に向けた支持率が全面的にバイデン氏を下回っていることから、米現政権は国内の対立の焦点を移し、国内のポピュリズムの共通認識を形成し、政治的に不利な局面を覆す必要がある。ティックトックへの攻撃は、トランプ政権の手中の一枚のカードに過ぎない。

 

 MSへの援護。ウォール・ストリート・ジャーナルによると、ムニューシン米財務長官ら政府高官は、MSによるティックトックの買収を支持している。取引を通じ中国の「技術の王冠に輝く宝石」を米国のものとすることで、米国は大きな勝利を手にする。特に匿名の米国家安全高官は、トランプ氏の立場が二転三転しており、ティックトックを除外する交渉手段は「取引の芸術」と述べている。そのためトランプ氏の最終目的は、この極端な圧力で字節跳動に全面的に譲歩させ、ティックトックをMSに安売りさせることで、テック大手に旨みを与えることかもしれない。

 

 戦略的な中国けん制。米国は使い古した手段を使い、いわゆる「データを中国政府の手に渡さない」「米国の国家安全及び外交の利益を守る」を口実に、科学技術の保護主義を行っているが、その裏側には中国けん制という戦略的な考えがある。経済貿易、科学技術、外交、サイバーセキュリティ、人文などの分野をめぐる中米の争いが日増しに表面化するなか、米国が企むティックトックの強奪は、中国を全面的にけん制し「新冷戦」を引き起こすための手段の一つに過ぎない。

 

 米国のティックトックへの圧力はすでに、単なる科学技術及び経済の範疇をはるかに超え、各方面への影響力を強めている。


 米国の科学技術のいじめは自由市場の死だ。米国は科学技術で世界を凌駕し、絶対的な優位性を保っていたころ、「自由経済、市場開放」を口実に、最大の利益をかすめ取るため他国に門の扉を開くよう求めた。中国のテック企業が発展を加速し、米国の潜在的な脅威になると、米国は「自由市場」という偽装を完全に捨て、「国家安全」「データ・プライバシー安全」を大きく取り上げた。自国を封鎖し、さらには強奪することで、米国の科学技術の覇権を維持しようとしている。米国の科学技術のいじめと保護主義は、非常に望ましくない見本を示した。他国が次々とこれに倣う「割れ窓理論」は、自由市場の死になるかもしれない。

 

 さらに中米関係を妨げる。米国の独断専行により、中米関係は6月末より急激に悪化している。現在最も必要なのは、中米が理性を保ち、共に向き合い歩み寄り、両国関係に積極的な要素を注ぐことだ。しかし米国のティックトックへの圧力は、中米の科学技術の「デカップリング」を早める新たな手段であり、影が差す中米関係に消極的な要素を加えた。

 

 中国のテック企業の海外発展の道は険しい。ティックトックがインドで禁止され、米国で圧力を受けると、一部の国が火中の栗を拾い火事場泥棒をしようとし、ティックトック包囲網に加わった。同時に米国も積極的に行動し、中国テック企業に圧力をかける「小グループ」を寄せ集めているが、これは科学技術のグローバル化をいっそう陣営化・分裂化の方向に発展させる。中国テック企業の海外における発展環境がより厳しく複雑になる。

 

 しかし同時に、米国が気も狂わんばかりに中国に圧力をかけるほど、中国の科学技術の進歩と改革開放の成果が証明されることにも注意が必要だ。戦略的な定力を保ち、米国につられてリズムを乱さず、自信ある開放的な中国を世界にさらに示すことで、我々は必ず最終的な夢を叶えることだろう。(筆者・孫立鵬 中国現代国際関係研究院米国研究所経済室副研究員)



「中国網日本語版(チャイナネット)」2020年8月4日

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