凄まじい勢いの感染拡大の第二波を前に、香港特区政府は9月初めに予定していた立法会議員選挙の延期を発表した。この決定には非常に明確な論理と十分な理由がある。感染拡大を抑制して香港市民の生命の安全を守ることが最重要課題であることには何の疑問もない。(文:王平。人民日報海外版掲載)
香港地区では7月22日からすでに10数日連続で新規感染者が100人を超えており、その半数近くが感染経路不明だ。香港地区の医療機関の負担はすでに限界に達している。特区政府はこれまでで最も厳格な防疫措置を講じているが、感染抑制の兆しはまだ見られない。こうした緊迫した状況の下、立法会選挙の延期は香港特区政府にとって「困難な決定」であると同時に「必然的な選択」でもあった。
立法会選挙には440万人の有権者と3万人以上の作業員が関わる。期日通り実施した場合、さらに大規模な流行を招く可能性が高く、耐えられない深刻な結果を香港社会にもたらす。特区政府がこの時期に選挙の延期を決定したのは市民の生命と健康の安全を確保する上策であり、科学と民意の尊重、生命至上を原則とし、担うものでもある。
この決定は香港世論のメインストリームと一致する。香港各界の識者及び団体は連日来、特区政府の時機を外さぬ即断への支持と賛同を次々に表明している。「立法会選挙の延期は特区政府が様々な要素を勘案して行った適切な決定だ」「責任ある政府として有るべき筋道だ」「感染拡大の厳格な抑制は一刻の猶予もならない。特区政府が第一に考慮すべきが市民の無事であることは間違いない」「心を一つにして新型コロナと闘い、共に困難を乗り越えることが、現在の香港地区にとって何よりも大事だ」。こうした声に共通するのは、命と市民の幸福を重視している点だ。
この決定は憲法、基本法及び香港地区の法律に合致する。「緊急情況規例条例」を援用して立法会選挙を延期する特区政府のやり方は、市民の利益に十分に配慮したものだ。立法会選挙の延期によって生じる立法機関の欠員の問題について、全人代常務委員会は速やかに決定を行うだろう。この決定は争う余地のない合法性を備え、立法会の運営を一段と安定化させるものとなる。
この決定は筋の通った合理的なものであり、選挙の公平性を確保するものでもある。深刻な感染拡大の中で選挙を実施すれば、中国大陸部および海外に居住または滞在する数10万人の有権者は入境制限措置のために香港地区に戻って投票することができず、60万人を超える香港地区在住の高齢有権者も感染拡大が原因で投票をあきらめることになり、自宅隔離中の有権者も特定の時間の投票を安全に手配してもらうことが難しい。ましてや人々の集まりの制限が「二人まで」と一層厳格化されたため、集会その他いつものイベントも開催のしようがない。(編集NA)
「人民網日本語版」2020年8月4日