中国の第7回全国人口調査データが11日午前、発表された。「中国の総人口が増加を続け、世界一の人口大国を維持した」「人口の質が着実に向上し、教育水準が大幅に上がった」「人口構造に調整と変化があり、性別構造に改善があり、年齢構造が2増1減(子どもと高齢者が占める割合が上がり、中間の生産年齢人口の割合が下がった)となった」「人口流動の集約化がより顕著になり、都市化水準が持続的に向上した」といった統計データが反映する変化は、中国の過去10年の人口図を浮かび上がらせ、また一部の西側メディアの中国に対する憶測と衰退論を否定した。浙江大学社会調査研究センターの劉志軍副主任は11日、「環球時報」の記者に「一言でいえば、中国の人口統計データをめぐるさまざまな危機説に根拠はない」と述べた。しかし出生率の低下と高齢化が基本的な国情であることを否定できない。また増加率の低下により人口減の年が早まるかも、中国の眼前に突きつけられた切実な問題だ。北京大学社会学系の陸傑華教授は「これは社会全体の対応が試される。しかしその他の国と比べると、中国は人口が多いため多くの余地が残されている」と述べた。
11日の記者会見で、「生育政策の緩和を考慮するか」に関する質問が2回あった。AFP通信は「国家統計局の寧吉喆局長は、中国の全面的な二人目の出産許可が積極的な効果を発揮したと述べた。全国で新たに誕生した二人目の数が1000万人以上にのぼり、0-14歳の子どもが人口に占める割合が1.35ポイント増となった。しかし妊娠適齢期の女性の数が減少を続けており、二人っ子政策の効果が徐々に弱まっている」と伝えた。「ウォール・ストリート・ジャーナル」は「米国と異なり、中国は移民により労働力を補充していない。これは中国政府による既存の生育政策の緩和の圧力を拡大する可能性がある。寧氏は第14次五カ年計画綱要を引用し、家庭の生育・養育・教育コストを軽減し、生育政策の潜在力を引き出すべきだと述べた」と伝えた。
「定年延長が不可避に」との観点を持つ独週刊誌「デア・シュピーゲル」は、「定年延長は欧州ですでに共通認識になっている。中国は世界で定年年齢が最も低い国の一つだ。現在の定年年齢の規定は中華人民共和国の設立当初にできたもので、当時の平均寿命はまだ短かった」と伝えた。
人口問題は中国に限られたものではない。英紙「ガーディアン」は、「今日の人口調査データは中国に警鐘を鳴らすかもしれないが、この変化が生じているのは中国だけではない。東アジアの大半の国は計画生育を実施していないが、同じような難題に直面している」と伝えた。CNNはノースカロライナ大学の蔡勇教授(音訳、社会学)の発言を引用し、「中国は高出生率・高死亡率の国から、低出生率・低死亡率の国に移り変わっており、構造調整が続いている。しかし中国は高齢化が経済発展を妨げる問題に対応しなければならない唯一の国ではない。世界全体が、共に老いるという現実に直面している」と伝えた。
ブルームバーグは、「中国の人口は今後数年で減少する可能性があるが、これは危機が迫っていることを意味するものではない。日本の人口は2010年にピークに達し、韓国の人口は2020年に初めて減少した。しかしこれらの国は一流のインフラ、優秀な学校、高水準の生活、技術サプライチェーンにおける強みを握っているため、長期的に繁栄するチャンスがある。中国を安価な労働力を無限に供給する国とするのは時代遅れだ」と伝えた。BBCはエコノミスト・インテリジェンス・ユニットの中国チーフアナリストである蘇月氏の発言を引用し、「マーケットは人口データの豊富な中身に目を向けるべきだ。高齢化の加速は平均寿命の延伸を反映しているが、課題の裏には医療・介護サービスの需要拡大といったチャンスもある」と伝えた。
陸氏は11日、「環球時報」に「中国の現在の高齢化ペースはまだピークに達しておらず、2023年頃にさらに加速する見通しだ。そのため事前に制度の備えをする必要がある。現在の一部の問題は想定の範囲内で、制御喪失の兆しはない。我々は人口モデル転換におけるチャンスをつかみ、また直ちに関連リスクに対処するべきだ。過度な楽観も過度な悲観も不要だ」と述べた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2021年5月12日