米誌「フォーリン・ポリシー」(電子版)は12日、「世界で苦しみを撒くバイデン版のアメリカ・ファースト」と題した記事を掲載した。要旨は下記の通り。
バイデン大統領はトランプ前大統領のアメリカ・ファーストを引き継がないと言うだろう。しかしこれを評価・判断する基準は発言ではなく、行動だ。バイデン政権は他国の利益を損ねるやり方で米国の利益を求め続けている。
例えばバイデン政権は新型コロナウイルスワクチンの輸出を少量に留めている。バイデン氏のワクチン特許権放棄の姿勢は、非常に不安な事実を隠している。つまりワクチンは実際に輸出されて初めて命が救われるということだ。バイデン氏が率いる米国はワクチンを溜め込み、たった300万回分しか共有していない。
その他の政策の他国への危害も、これにまったく劣らない(ワクチンのナショナリズムのように意図的でないにしても)。バイデン政権の経済政策は国内の経済成長促進を目的としているが、これは食糧を含む世界の主要大口商品価格を過去最高に引き上げている。この世界的な食糧価格の高騰は貧困者にとって最も重い打撃であり、海外の政治家に飢餓対策と新型コロナウイルスの経済への影響の緩和の間での選択を強いている。
米連邦準備制度理事会(FRB)が以前のようにバランスシートを急拡大し米ドルを印刷するなか、トウモロコシ、大豆、小麦などの食糧類大口商品の価格が高騰している。これは、これらの市場の取引がその他の圧倒的多数の世界市場と同様、通常ドル建てで行われるからだ。FRBが金融システムに数兆ドルの新たな資金を注入すれば、その分だけモノが多く購入される。これは価格の続騰の理由だ。食糧だけでなく、木材、銅、米国の不動産、株価も含まれる。
メキシコを例としよう。メキシコの主食(トウモロコシ)の大半が現在、米国から輸入されている。昨年2月(刺激開始前の最後の1カ月)以降、トウモロコシ価格はドル建てで46%上昇している。これはメキシコの貧困者にとって大きな問題となった。
メキシコだけではない。国連食糧農業機関(FAO)食品価格指数は前年比で、過去10年間で最大の伸び率を示している。報道によると、トルコの人々は乳児用粉ミルクなどの食品を買い溜めしている。これは最近発表された17%という公式データよりも、食品の物価上昇率がさらに高いと判断されているためだ。ロシア当局は小麦やヒマワリの種などの輸出を規制し、国内の供給を拡大することで国内の価格を抑えている。ロシアが世界最大の農産物輸出国の一つであることを考えると、これは発展中の世界全体に新たな連鎖反応を生む。
各国の中央銀行の当局者が、一部の食料価格の高騰による圧力を感じているとするならば、発展途上国が受ける痛みが最も激しい。貧困国の家庭は主食により多くの支出を割く。そのためバイデン政権による食糧高騰に最も無関心でいられるのは米国だ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2021年5月18日