AP通信は3日、「中国は、完備された国内のワクチン産業を生かして、驚異的な行動力でワクチン接種を進めている。この速さは世界中のどの国も匹敵しない」と報道しました。
先月、中国ではわずか5日間で1億回分の新型コロナワクチンが投与されました。AP通信はこれを受け、中国が今、世界中のどの国にもできないことを達成し、幅広い影響力と完備された国内のワクチン産業を生かして、驚くべき速さでワクチン接種を進めていることを評価しました。
2日時点で、中国はすでに7億400万回以上のワクチンを投与しており、その半分近くが5月のうちに投与されたものです。オックスフォード大学のオンラインリサーチサイト「Our World in Data」によりますと、現在、世界中で約19億回分のワクチンが投与されており、そのうち約3分の1が中国での投与です。
同サイトの7日間のデータによりますと、中国では現在、1日平均約1900万人がワクチンを接種しているということです。これはイタリアに照らし合わせた場合、約3日間で全国民が接種を受けられる数に匹敵します。一方、人口が中国の約4分の1にあたる米国では、4月にワクチン接種が本格化されたものの、1日当たり340万回の接種にとどまりました。
首都・北京では、市内に数百カ所の接種会場があり、繁華街やショッピングモールなど人通りの多い場所には「移動型ワクチン接種カー」も備わっており、市民はいつでも気軽にワクチン接種を受けることができます。
また、中国は海外在住の中国国民がワクチンを接種できるよう力を入れており、「春苗行動」というプロジェクトを通じて、海外在住の50万人以上の中国人に接種サービスを提供しているということです。
アナリストや業界関係者によりますと、ワクチンの量産に関しては、中国のワクチンメーカーが生産規模の問題で難航することはないだろうという結論を出しています。中国国内で提供されているワクチンはほとんどが科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)と国薬集団(シノファーム)製で、これはいずれも世界保健機関(WHO)から緊急使用許可を受けていて、両社とも積極的に増産、新工場の建設、既存工場の改修を行っています。シノバック社は年間20億回分、シノファーム社は年間30億回分のワクチンを生産することができます。
このほか、中国のワクチン企業は、その製造過程において輸入品にほとんど依存していないということです。多くの国の間で原料争いが展開されている中、中国ワクチン企業は大きな強みを見せるとともに、インドの血清研究所のような事態を避けられると見込まれています。
「中国国際放送局日本語版」2021年6月6日