【観察眼】米国追随は本当に日本の国益につながるか

【観察眼】米国追随は本当に日本の国益につながるか。

タグ:米国追随

発信時間:2021-06-20 11:06:25 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

 最近の日本の中国関連報道では、次のような中国イメージが固まりつつあるようだ。それは、中国は自由と民主の「公敵」で、世界は中国への対抗策で結束している、ゆえに日本政府はもっと厳しい対中政策に乗り出すべきだという論調である。


 確かに、閉幕したばかりの先進7カ国首脳会議(G7)サミット、北大西洋条約機構(NATO)首脳会議などでは米国主導の下、いずれも中国を念頭にいれた文言の盛り込んだ声明を出している。その詳細な内容については、中国の外交当局はすでに公の場で正式に姿勢を表明している。ここでは、日本の皆さんにただ二つの質問を提起してみたい。まずは、西側諸国は本当に対中国で一枚岩のように結束しているのか。次に、米国の中国抑止に追随することは本当に日本の国益につながるか。


 G7サミット開催中、首脳宣言に「対中国」の文言を盛り込むよう、菅義偉首相はバイデン米大統領と「手分けして根回しに奔走」していた様子は、日本メディアが伝え、「中国への懸念」を東京五輪開催支持の取り付けと同様の扱いで、G7における菅首相の最大の成果とされている。


 ただし、そうした報道に対し、「ワシントン発の大本営発表だ」、「米国はただ自国の覇権維持のため、人権や民主などの名を借りて、対中ロ包囲網を作ろうとしているだけ」、「仏大統領は、G7は中国の敵対クラブではないことを表明している」などと冷めた目でコメントするネットユーザーもいる。中国メディアも指摘しているように、G7メンバーの中、「関与」と「抑止」の両方の姿勢が見られる。新型コロナウイルス感染症のパンデミックが続く中、人類が結束して対応すべき問題は山積している。そうした中にもかかわらず、世界を分断する方向へと導こうとする米国と歩調を合わせ、米国追随の行動に出ている。パンデミックの中で、東京五輪が間もなく開催されるということと結び付けて考えると、ますます理解に苦しむ行動としか言えない。


 一方、最近の欧州で起きた動きとは裏腹に、16日の北京では中国日本商会が「中国経済と日本企業」と題した白書の最新版を発表した。白書によると、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、世界各国に進出した日系企業の2020年営業利益の見通しは軒並み下落し、中でも、「黒字企業」の割合は主要国平均では2019年調査の65.5%から16.6ポイントも低下し、過去最低の48.9%となったのに対し、在中国の日系企業は前年調査の68.5%から5ポイントの下落で踏みとどまり、63.5%という高い水準を維持している。また、生産地の見直しなどに関する意向調査の結果、「見直し予定」が「ある」と回答した製造業企業は中国ではわずか7.2%で、「なし」と答えた企業は92.8%にも達する。白書は、「日系企業は経済がグローバル化し、サプライチェーンが複雑に絡み合った状況の中、今後も中国とともに発展しようとしている」という姿勢も明らかにしている。


 第二次世界大戦後、日本は日米安保条約に守られ、経済成長に専念し、まばゆい経済成長を実現した。冷戦が終結後、加速化する経済のグローバル化を背景に、改革開放で40年余りも続いた経済成長を実現した中国との経済貿易往来中で、互いに協力とウインウインの関係を確立し、共に平和で栄えたアジアの創出に貢献してきた。誇れる歴史と言える。もし今後の世界は、少数の国が願うような分断状態になれば、戦後日本の在り方の根幹が揺るがされることになると言える。


 岐路に立つ世界の現状に警戒を呼びかける動きもある。6月15日付の「毎日新聞は」は「G7の対中国政策 世界の分断招かぬように」と題した社説で、「新冷戦」になれば日本は米中対立の最前線に立たされるとし、菅政権にそれを回避する外交努力を求めていた。 


 複雑性と不確実性が高まる世界において、日本は今後どこに向かっていくか。「他山の石」と言う言葉を思い出させる。米ニュースサイトの「デイリー・ビースト」の伝えたところでは、マクロン仏大統領は「EUは、『冷戦に戻りたい』バイデン大統領に追随する考えはなく、対中国関係で独立性を保つ。中国とのパートナーシップの構築には率直さと尊重が必要だ」と明確に示している。また、メルケル独首相は「中国を仲間に加えないと、解決策は永遠に見つからない分野もある」と表明している。世界の複雑性が増す中、それでも互いにつながる方向へと導こうと努力し続けている力がある。


 今こそ日本各界が冷静になって、日本の向かうべき道、そして、中国や東アジアの隣国同士との付き合い方を落ち着いて考えるべき時ではないだろうか。(CRI日本語部論説員)


 「中国国際放送局日本語版」2021年6月20日


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