米紙「ニューヨーク・タイムズ」の元海外駐在記者、ブラウン大学ワトソン国際・公共事業研究所の上席研究員のスティーブン・キンザー氏は、「フォート・デトリック生物実験室には『黒歴史』がある。かつて日本の戦犯と協力し、現在も依然として米国の生物戦研究の中心地だ。この実験室の調査の掘り下げは非常に大きな注目を集めるだろう」と述べた。
キンザー氏はこのほど新華社のインタビューで、「フォート・デトリックは巨大な建築群だ。数十年に渡り、米国の生物学軍事研究の中心地だった……(中略)……あそこで起きた多くのことが機密事項だ。長期に渡り、人々はフォート・デトリックの前で、我々が知らないプロジェクトに抗議している」と述べた。
キンザー氏の著書によると、MKウルトラ計画はフォート・デトリック生物実験室が行っていた秘密のプロジェクトの一つで、「精神を制御する神秘の解明」を目的としていた。本書は米中央情報局(CIA)の化学者兼精神制御実験プロジェクト責任者のシドニー・ゴットリーブが、フォート・デトリック及び世界各地で精神制御実験を行った秘密の歴史を暴露した。
キンザー氏は次のように述べた。
CIAは1951年にゴットリーブをMKウルトラ計画の責任者にした。ゴットリーブは犯罪者、さらには一般人を捕まえ実験を行う権利を持ち、かつ米政府が特別に認める『殺人許可証』のような権力を持っていた。ゴットリーブはさらに海外で、諜報員もしくは憲兵に犯罪者を物色するよう求めた。ゴットリーブが望めば、彼らが死ぬまで実験を行うことができた。
人をいかに死なせるか、人はどのような時に死ぬか、人の肉体と思想を制御するにはどうすべきかといった人類の忍耐力の限界を探るため、ゴットリーブとCIAはナチスの医師と、戦犯・石井四郎などの日本の同業者を雇った。石井は第二次大戦に悪名高い侵華日軍731部隊を率い、中国の東北で人道のかけらもない人体実験を行った。
石井は人をいかに苦しめ死に至らしめるかを知ろうとし、日本兵に農村の現地人を捕まえさせ、731部隊に連れてこさせた。そこを生きて出た人はいなかった。彼らは「人間」ではなく「マルタ」と呼ばれた。
終戦時に、「最も恐ろしい戦犯」の1人である石井は裁判を受けなかった。これは米国人が石井を殺すのではなく、雇うことに決めたからだ。米国人は石井の数千枚の顕微鏡用標本に興味を持った。これらの標本には、毒薬注射で死亡したばかりの人から取り出された組織の薄片も含まれていた。
米国の立法・司法部門及びその他の機関は、MKウルトラ計画及びその責任者の全面的かつ正式な調査を行ったことがない。
MKウルトラ計画はフォート・デトリックの秘密プロジェクトの氷山の一角に過ぎない。フォート・デトリックで起きたことについて調査と分析を掘り下げれば、非常に大きな注目を集めるだろう。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2021年7月26日