先進7カ国(G7)は24日にオンライン形式で首脳会議を開き、アフガニスタン情勢について議論した。米国のバイデン大統領は閉会後間もなく、米国側は8月31日までの撤退完了に取り組んでいると述べ、英仏などによる期限延長の要求を完全に無視した。撤退時期の問題以外にも、米国と同盟国の間にはアフガン難民問題を巡り大きな食い違いが残されている。
アナリストは、「アフガン危機はG7を困らせている。今回の会議でG7は共に声を発したが、内部の亀裂がより深まっており、同盟国は日増しに米国への不信感を募らせている」と指摘した。
食い違い(一) 撤退時期
撤退問題は今回の会議の重点的な議題だった。会議後に発表された声明は、「G7はアフガン情勢に重大な懸念を表する。各方面は冷静と自制を保ち、アフガン人及び在アフガン外国人の安全を保証し、人道危機の発生を防止するべきだ。G7公民及び過去20年に渡りG7と協力したアフガン人の安全な退避の保証が焦眉の急だ」とした。
報道によると、英国のジョンソン首相、フランスのマクロン大統領は会議前、米国が一方的に決めた8月31日の完全撤退を延期し、すべての外国公民及びNATOの行動に協力したアフガン人の退避を保証するよう求めた。しかし彼らは期待していた回答を得られなかった。バイデン氏は24日にホワイトハウスでスピーチした際に、米国の目標は8月31日までにアフガン撤退を完了することだと述べた。
米紙「ニューヨーク・タイムズ」は、「今回の会議は大西洋を跨ぐ同盟関係が緊張するなか開かれた。英国などの同盟国は、米国側が軍撤退の時期及び計画に関する協議に応じなかったことに失望を深めている」と伝えた。
ドイツ連邦議会外交委員長のノルベルト・レトゲン氏は、「アフガンの行動の失敗は、独米関係に広く悪い結果をもたらす。これは道徳と政治の失敗だ。米国は同盟国と進退を共にしていない。米国は本来ならば少なくとも撤退行動で同盟国と協力できたはずだが、一方的に8月31日までに完全に軍を撤退させるという非合理的な目標を立て、アフガンの危機を生んだ」と述べた。
食い違い(二) 難民問題
米国は撤退時期について独断専行し、欧州の同盟国を失望させたばかりか、さらに難民問題でも欧州諸国と大きく食い違っている。多くの欧州メディアは、同盟国は米国の責任逃れを受け入れがたいと指摘した。
イタリア紙(電子版)は、「バイデン氏の発言によると、米国に協力し犯罪歴のないアフガン人のみが米国への入国を認められる。これはつまり米国側の難民受入の数が非常に限られており、圧倒的多数の人員が欧州諸国に入ることを意味する。アフガン人の苦難、欧米の良好な同盟関係を考えると、米国側の行為は受け入れられない」と伝えた。
自主を目指す欧州
アフガン危機は欧州の同盟国の米国への不信感を激化させ、戦略的な自主性を求めるべきとの反省を促した。
「ニューヨーク・タイムズ」によると、ヴォルフガング・イッシンガー元駐米ドイツ大使は、「永遠に完全に米国の能力と決定に従うのか、欧州は信頼できる戦略行動者になることを真剣に検討するべきか。これは欧州にとっての真の教訓だ」と述べた。
ラジオ・フランス・アンテルナショナル(電子版)によると、EUのボレル外交安全保障上級代表はこのほど、「アフガン情勢と撤退の混乱は、欧州が米国から独立した、自らの軍事力を発展させる必要性を示した。欧州人に選択肢はなく、自ら行動しこの世界を直視しなければならない」と述べた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2021年8月26日