▽新境地を切り開く時代変革者
習近平氏が中央委員会総書記に就任した当時、中国は30年余りの改革開放を経て国力が増強されていたが、同時に、経済の下押し圧力や貧富の格差、生態環境の破壊、社会矛盾の蓄積など根深い難題にも直面していた。改革も幾つかの阻害が生じており、より科学的なトップダウン設計が必要だった。
習近平氏は中国式現代化のために革新、協調、グリーン(環境配慮型)、開放、共有の前進の道を計画した。
このような発展方式は、社会主義中国を粗放で非効率、生態が損なわれる発展の道から抜け出させて質の高い発展軌道に乗せるため、資本主義の「富める者はますます富み、貧しい者はますます貧しくなる」という弊害を避けるためだと考えられている。
北京の人民大会堂で中国共産党第19回全国代表大会に出席した代表らと親しく会見する習近平氏。(2017年10月25日撮影、北京=新華社記者/蘭紅光)
習近平氏は中央全面深化改革(改革の全面的深化)委員会(旧中央全面深化改革指導グループ)の主任として、一連の新たな改革を立ち上げた。それは、鄧小平の改革開放政策の継承であり、新たな突破でもあった。
習近平氏の指導の下、改革は既に各分野へ浸透しており、土地政策や国有企業の党建設、司法手続き、出産政策、税財政政策、不動産市場、科学技術体制、反独占メカニズムに及んでいる。
注目されている重要な改革は、長期的な安定に関わる制度の現代化を進めることである。その核心は、中国の特色ある社会主義制度の堅持と充実、国家統治体系と統治能力の現代化の推進にある。
改革の難易度は常に高く、時には習近平氏が自ら決定を出し、論争を解消し、阻害を突破しなければならない。
上海市で第1回中国国際輸入博覧会の開幕式に出席し、「革新的・包摂的な開放型世界経済の共同建設」と題した基調演説を行う習近平氏。(2018年11月5日撮影、北京=新華社記者/李学仁)
改革は中国の門戸をより大きく開いた。中国は2013年、上海に初の自由貿易試験区を設置した。中国には現時点で21の自由貿易試験区があり、欧州の小国一つ分に相当する面積の海南島全域も含まれる。外商投資参入ネガティブリストの項目は大幅に圧縮された。
一部の国が貿易障壁を築く中、中国は一連の国際貿易・投資展覧会の開催地となっている。習近平氏自身も国家級展覧会群の一つ、中国国際輸入博覧会の開催を提唱した。
中国はまた、地域的な包括的経済連携(RCEP)協定を率先して批准した。習近平氏は2020年末、7年余りで2485の改革案を打ち出し、中国共産党第18期中央委員会第3回全体会議(2013年11月)で示された改革目標・任務を全体的に予定通り達成したと宣言した。
一面に緑が広がる陝西省楡林市米脂県銀州街道高西溝村。(9月10日撮影、小型無人機から、北京=新華社記者/陶明)
2013年から2020年の中国経済の年平均成長率は約6・4%で、世界経済成長に対する平均寄与率は数年連続で30%を超えた。2020年には国内総生産(GDP)が100兆元(1元=約18円)を突破し、米国の約7割となった。
中央党史・文献研究院の劉栄剛(りゅう・えいごう)研究員は、新時代が歩んできたプロセスの中で最も注目すべき点は、一つ目の百年奮闘目標「小康社会(ややゆとりのある社会)の全面的完成」を実現したことだと述べた。
現在、中国は既に世界最大規模の社会保障システムを構築している。最大規模の中間所得層を形成し、絶対的貧困を解消した。
過去9年間で約1億人が極度の貧困から抜け出した。習近平氏は各級の党員・幹部が村に直接駐在し、的確な貧困対策を実施するよう求めた。
彼自身も全国に14ある広域特殊困難地区を回った。貧困脱却難関攻略の難しさは戦争に匹敵し、1800人余りの貧困扶助幹部や活動者が殉職した。
2021年、中国のイノベーション指数の世界順位は12位に浮上し、日本やイスラエル、カナダを超えた。世界最大の外資流入国である中国は、既に世界最大の消費市場になっている。
人々は日常生活の中で生態環境の変化を実感することができる。2020年、中国の地級以上都市の平均大気質優良日数の割合は87・0%、地表水優良率は83・4%に達した。民衆の生態環境の質に対する満足度は89・5%に上昇した。
習近平氏は軍に対する全面的な改革も実施した。彼は毛沢東が確立した「党が鉄砲を指揮する」という原則を改めて掲げ、軍の指導・指揮体制、規模と構造、兵力編成の面で一連の改革を打ち出した。彼は軍隊に戦闘準備を整えるよう要求した。
海南省三亜市の軍港で行われた中国初の国産空母「山東」の引き渡し・就役式典で、乗艦し儀仗隊を観閲する習近平氏。(2019年12月17日撮影、北京=新華社記者/李剛)