ロシアとウクライナの衝突、中国の食糧安全への影響は?

中国網日本語版  |  2022-03-30

ロシアとウクライナの衝突、中国の食糧安全への影響は?。8日付米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」の「ウクライナの衝突、中国の食糧安全を脅かす」という記事は人騒がせな誇張だ。我々は系統的・全面的・客観的に中国の食糧安全を見なければならない…

タグ:ウクライナ 食糧安全 生産能力

発信時間:2022-03-30 15:34:23 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

 ロシアとウクライナの衝突により、世界の食糧、エネルギー、食用油の価格が軒並み高騰している。中国は人口大国、食糧生産大国であり、食糧輸入大国でもある。ロシアとウクライナの衝突は必然的に、中国の食糧安全に一定の影響を及ぼす。しかし一部の海外メディアの中国の食糧安全に関する報道は事実と一致しておらず、8日付米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」の「ウクライナの衝突、中国の食糧安全を脅かす」という記事は人騒がせな誇張だ。我々は系統的・全面的・客観的に中国の食糧安全を見なければならない。(筆者・王宏広 清華大学国際生物経済センター主任、北京大学中国戦略研究センター執行主任)


 まず、ロシアとウクライナの衝突は食糧輸入コストを拡大するが、中国の食糧安全の「満腹は問題ない」という基本構造を揺るがすことはない。中国の昨年の1人平均食糧占有量は483キロで、国連食糧農業機関による1人平均400キロという食糧安全ラインを21%上回っており、満腹は問題ない。中国はすでに10億ムーの高基準耕作地を作っており、6億8000万トンの食糧生産量を確保できる。中国人が再び飢えることはない。今年の中国の食糧安全は、ウクライナの衝突、異常気象、中米貿易戦争という3つの衝撃に直面しているが、いずれも制御可能な範囲内だ。


 ウクライナとロシアが輸出する小麦が世界全体の輸出量に占める割合は28%、トウモロコシは16%だ。中国は小麦を自給しており、トウモロコシはロシアから少量輸入しているだけで、新たな調達先を探せる。昨秋の異常気象により、全国の小麦の3分の1弱の播種が遅れ、冬前までに苗が順調に育たなかったが、春に苗を強くする技術により一定の損失を補える。小麦成長後期の気象が正常であれば、通年の生産量を保てる。減産するとしても3%前後だ。小麦が全国の食糧生産量に占める割合は昨年20.1%だったが、異常気象による通年の食糧減産が1%以内で、正常な年の食糧生産量の変動範囲内であることが分かる。中米貿易において、米国の貿易赤字が増え続けている。米国は中国が食糧とエネルギーの輸入を増やすことを願っている。そのため中米貿易戦争の、現在の中国の食糧安全への影響も大きくない。


 農業テクノロジーの進歩に伴い、中国の食糧生産能力は今後20年で8億トンに達する見込みだ。「中国の食糧安全」白書の「蔵粮于地、蔵粮于技」を基礎とし、「生糧于海」により、300万平方キロメートルの海洋で漁獲する。「産糧于山」により、南方の10億ムーの草が茂った山で食物を栽培する。「要糧于改」により、政策で農家の食糧栽培の積極性を高め、播種面積を1億ムー追加する。「貯糧于友」により、海外の10億ムーの耕作地による安定的な食物サプライチェーンを構築する。「節糧于用」により、食糧の浪費を減らす。「穏糧于共同体」により、食糧安全共同体の構築を急ぐ。上述した措置により、中国は8億トンの食糧生産能力を形成できる。これに適度な輸入を加えることで、「中国人の茶碗は中国の食糧で満たされる」という目標の達成が完全に可能だ。

 

 米ワールドウォッチ研究所のレスター・ブラウン所長は1990年代に、「将来誰が中国人を養うか」という説を掲げた。筆者はこれに反論する文章の中で、「中国の食糧安全は懸念できるが、恐れることはない。中国人の食は将来きっとより良くなる」としたが、この見解が変わったことはない。

 

「中国網日本語版(チャイナネット)」2022年3月30日

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