冷戦後30年は国際政治の「例外」か

中国網日本語版  |  2022-04-18

冷戦後30年は国際政治の「例外」か。

タグ:ロシア ウクライナ 戦略 冷戦

発信時間:2022-04-18 11:35:03 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

 ロシアとウクライナの衝突はエスカレートし、西側の多くの人は冷戦後の世界秩序の発展経過を改めて考えている。中には、冷戦後の30年と平和な時期は国際政治の「慣例を破る」時代で、民主国と非民主国の融合発展は困難だと考える人もいる。(文:張家棟 復旦大学米国研究センター教授)


 このような観点は、西側が冷戦後の世界で自身が望む道を歩みきれず、心理的なギャップが大きいことを示している。西側には、世界は主権国や和して同ぜずという秩序に基づくのではなく、国を超えた統一の秩序を構築すべきと考える人がいる。期待が大きいほど、ギャップは大きくなる。ロシアとウクライナの衝突後、失望感と失落感により西側の一部の人は問題を誇大化し、極端から別の極端へと転向した。

 

 西側と比べて、中国やインドなどの国はロシアとウクライナの衝突を冷静、客観的に見ている。これらの国は西側のように過度に理想化せず、理想主義と現実主義の間でバランスを探り、問題をより全面的かつ多元的にとらえている。


 この世界はみんなのものであり、一部の人や国の望み通りにはいかない。第一次世界大戦から第二次世界大戦、冷戦に至るまで、世界秩序の改造や再構築に積極的だったほとんどの国が負けている。冷戦終息後、世界経済一体化を妨げる価値観要素はなくなり、グローバル化が突然加速した。これは国際秩序だけでなく、多くの国の国内構造と秩序も変えた。このような動きは経済民主主義意欲のリバウンドを引き起こしたが、全体的に見て、より民主、自由、繁栄、包容的な世界をまだ期待できる。

 

 重要なのは、ロシアとウクライナの衝突は世界の中核力の間の直接的なものではなく、その影響は全体ではなく、一部、周縁的だという点である。冷戦時期、このような戦争や衝突は一度となく起きていた。ベルリン危機から朝鮮戦争、ベトナム戦争に至るまで、勝敗は重要だが、冷戦の過程と結果の影響は限られていた。冷戦の結果を左右するのは、結局は関係国の政治、経済、科学技術力である。具体的に言えば、以下の3つの要素はロシアとウクライナの衝突の国際政治意義を制約する。

 

 1つ目は、ロシアは自分の力だけで世界秩序を再構築する能力を備えていない。ロシアのGDPが世界経済規模に占める割合は1.5%程度で、西側の30分の1にも届かない。西側には、ロシアは大西洋から太平洋にかけてのユーラシア新秩序の構築を図っていると繰り返し主張する人が絶えないが、ロシアの総合力と西側の守り中心の戦略姿勢を見ると、これは「推測」にすぎない。

 

 2つ目は、世界に反西側、現存の国際秩序に挑む新同盟体制が存在しない。西側の一部の人はロシアとウクライナの衝突を大袈裟に論評しており、その一部は潜在的な「中国の影」から来ている。「中ロ同盟が西側に挑んでいる」という主張は、事実ではなく「仮説」である。中国とロシアの戦略協力パートナー関係は両国が自主的に選んだ結果ではなく、米国の戦略的圧力を受けたためにした選択である。中国とロシアの主要経済パートナーはいずれも西側諸国で、西側に共同で対抗する経済基礎は存在しない。中ロ接近の最初の願いは、中ロという欧米と異なる大国の基本的地位と尊厳を守り、主権国の枠組みの中で防御性戦略協力パートナー関係を構築することであり、攻撃性のある同盟関係を構築することではない。

 

 3つ目は、ロシアとウクライナの衝突は世界的なデモンストレーション効果を生まない。ロシアとウクライナの衝突には複雑な歴史経緯と現実的動機があり、この情勢が続くまたは悪化する条件は普遍性を備えていないため、多くの国が真似をし、さらには現在の世界秩序の基礎を覆すのではないかという懸念は必要なく大袈裟である。

 

 世界情勢は変化し続けるが、ロシアとウクライナの衝突によって激変することはない。人類社会の歴史は分散状態から集中、相互隔離から相互融合になる歴史である。歴史を長い目で見ると、人類の戦争史も人類文明の融合史と発展史の一部といえる。現在、グローバル化は試練に直面し、貿易の自由化は抑制されているが、力の作用は相互的なものであり、グローバル化が一定の段階に発展する中で現れる反作用力にすぎず、深層的発展のきっかけの1つになる可能性が高い。

 

 世界は物質世界と精神世界が合わさって成り立っており、衝突と戦争は物質世界の発展による必然的産物では決してない。入念に操作された集団的恐怖と排他主義は人類史上、何度も戦争の動機になった。そのため、過度な恐怖と悪意ある誇張を防ぐことは、国際社会の当面の急務となっている。()

 

「中国網日本語版(チャイナネット)」2022年4月18日

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