ロイター通信の報道によると、世界保健機関（WHO）のテドロス事務局長はジュネーブで現地時間10日、記者からの質問に対して「新型コロナウイルスの特性と今後の見通しに基づき、WHOはゼロコロナが持続不可能だと判断する」と述べた。多くの海外メディアが競うようにしてテドロス氏のこの発言を報じ、中国の現行の防疫政策に対する「批判」であるとした。注意すべきは、同じ場で別のWHO専門家2人が中国の防疫政策についてより全面的に論評したことだ。そのうち1人が「中国は世界で人口が最も多い国であり、厳しい措置をしっかり講じ新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐのは理解できる」と述べたが、これらの内容は多くの西側メディアから避けられた。

　WHOの緊急事態対応を統括するマイク・ライアン氏は、「防疫措置の社会と経済への影響のバランスを取る必要があるが、これは容易なことではない」と述べた。また、厳しい措置をしっかり講じ新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐことは理解できると述べた。「環球時報」の調べによると、多くの海外主流メディアがライアン氏のこの観点を取り上げなかった。

　中国の「動的ゼロコロナは是か非か」というロイター通信からの質問に対して、WHOの疫学専門家のマリア・バン・ケルコフ氏も、中国の「動的ゼロコロナ」は感染拡大を極力抑制するためのものとし、「多くの国がパンデミックに対応するためさまざまな政策を選択した。WHOの責任は、その各種措置に対して極力、最良の提案を行うことだ。新型コロナウイルスのさらに多くの変異種が現れることが分かっているが、WHOには主に2つの目標がある。まずは感染者を見つけ、重症化、発症率、死亡率、長期的な影響を減らし、患者が専門的な医療従事者の支援を受けられるようにすることだ。次に新型コロナウイルスの感染拡大を減らすことだ。WHOの目標はすべての感染者を特定し、感染拡大を完全に防ぐことではない。これは現在も不可能だ。我々が取り組むのは感染リスクの低下であり、これには適した解決策が必要だ。新型コロナウイルスを放置してはならない。WHOはすべての国の公民が正確なサポートを受けられるよう支援する。完全に感染拡大を封じ込め、致死率と死亡率を引き下げる能力を持っているかもしれない国もあるが、これは世界範囲の状況ではないとWHOは見ている。そのため依然として感染症との戦いには世界的な協力が必要だ」と述べた。ところが海外メディアの報道はケルコフ氏の観点をそのまま伝えず、「世界的にウイルスの感染拡大を阻止するのは不可能だ。WHOの目標はすべての感染者を特定し、感染拡大を完全に防ぐことではない。これは現在も不可能だ」の部分だけを切り取ることで、「動的ゼロコロナ」への疑問視の裏付けとした。

　「中国網日本語版（チャイナネット）」2022年5月12日