年初から現在まで、ユーロが対ドルで10%超下落している。現在は一時的にパリティ(1ドル=1ユーロ)割れとなり、過去20年で最低水準まで落ち込んでいる。今回の持続的なユーロ安は、米国の金融政策の調整が欧州にもたらした悪影響を示している。その一方で、米国が欧州で対抗と動乱を引き起こすと、ユーロと欧州経済が往々にして犠牲になるという事実を再び証明した。
米国が欧州で動乱を引き起こしたことで、ユーロが害を被るのはこれが初めてではない。
ユーロの正式な発行から3カ月もたたない1999年に、米国主導のNATOがコソボ戦争を引き起こした。独ポツダム大学欧州国際経済関係研究所の元所長は、「この戦争はユーゴスラビアに人道問題を引き起こし、誕生したばかりのユーロも下落が続いた。国際資本のユーロへの自信が揺らいだ。ユーロの誕生は、欧州市場が脱ドルによりドルの覇権を脅かそうとしているとみなされた。米国主導のコソボ戦争がユーロを抑える効果は顕著だった」と指摘した。
もう一つの典型的なケースは、欧州債務危機の裏側の米国の「異常な動き」だ。
2009年10月にギリシャ政府の債務問題が明るみに出て間もなく、米3大格付け機関のムーディーズ、スタンダード・アンド・プアーズ、フィッチ・レーティングスが動き出し、ギリシャの国債格付けを引き下げた。危機は真っ先にギリシャで発生した。その後米国では、危機を誇張しユーロ衰退を唱える声が上がった。時の欧州委員会のバローゾ委員長は、一国の国債格付けという敏感な事項がわずか3機関に把握されており、かつこの3機関が同じ国にあるのは非合理的だと述べた。 ドイツ連邦経済・気候保護省の関係者は、「米国が欧州債務危機を助長したことでユーロが落ち込んだ。ユーロの国際的な使用度は現在も2008年の国際金融危機前の水準に戻っていない」と指摘した。
歴史は最良の鏡であり、現実は最良の教科書だ。歴史と現実に目を向けると、ユーロ急落の裏にある米国の計算が見えてくる。世界の覇権を守るため、同盟国の利益さえも犠牲にするという、米国の真の姿が浮かび上がってくる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2022年7月26日
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