北京ダック
北京ダックの現れた年代については、五世紀前の明朝(1368-1644)にまで遡ることができる。15世紀の初期、明王朝は都を北京に移し、ダックをあぶる技術も北京に持ち込まれた。その後、その技術は絶えず発展を遂げ、北京ダックは次第に全国に名を馳せる北京の名物料理の一つとなった。
北京ダックを味わう最適の季節は春、秋、冬であり、北京ダックはエサを口から押し込む飼育方法で飼う北京地方の肉用アヒルを選んであぶり焼きにしたもので、冬と春の季節になるとアヒルの肉は脂身が多くて柔らかく、秋季のアヒルは肉つきがよく、胴体が大きくて皮が薄いからである。あぶる前にアヒルの皮に麦芽糖を塗りつけるため、でき上がった北京ダックはクリ色を呈している。でき上がりの北京ダックは熱いうちにその肉を薄切りにし、肉ばかりでなく、皮がついていて、大きさも大体同じで、薄くても形が崩れないようにするのがコツ。調味料は一般に甘味噌プラス細切りのネギであり、キュウリの細切り、大根の細切りを合わせることもある。甘味噌は全聚徳北京ダック店が特に調合して作った「専売特許」と言えるもので、北京ダックを食べる際に欠かせない調味料である。食べる時には、箸で甘味噌をつけて荷葉餅(ハスの葉のような丸くて薄い煎餅)の上に塗りつけ、いくつかのアヒルの肉の薄切りを挟んで、さらに数筋のネギの細切り、キュウリの細切り或いは大根の細切りを加え、それからそれを巻いて食べるのである。著名な全聚徳北京ダック店は最上の北京ダックが食べられる名店である。
炒肝
炒肝(ブタの肝臓、腸などの内臓で作った軽食)は汁が味噌色を呈し、つやがあり、肝は美味しく、腸がこってりしていてあっさりした味で、汁には粘り気があり、特色がある。この軽食には長い歴史があり、宋代(960-1279)の民間の軽食「ブタの肝臓の煮込み」と「肺臓の炒めもの」から発展してきたものである。
北京の天興居(料理屋)の炒肝は、1997年12月に中国料理協会に第一期全国中華名物軽食の称号を授与された。
腸詰め
明の劉若愚の『明宮史』の中に、すでに腸詰めについての記載がある。腸詰めはピンク色で、新鮮で口に合い、塩辛さ、辛さ、香りと三拍子そろっており、ユニークな風味をもつ軽食である。
往時の北京の腸詰めは長安街大通りにある聚仙居のものが最上といわれた。
爆肚
爆肚は牛やヒツジの胃袋を油で炒めて作った軽食であり、北京の軽食の中の名物である。早くも清の乾隆の頃(1736-1796)にすでに爆肚についての記載があり、そのほとんどは回族の人たちの経営する店のものであった。
北京で比較的有名な爆肚のお店には天橋の爆肚石、東安市場の爆肚王、後門の爆肚張があり、そのほかに爆肚楊、爆肚馮、爆肚満などがある。新鮮な動物の胃袋材料を使わなければならないほか、ポイントは炒め方にあり、炒める時間もほど良く、その柔らかさと新鮮さを保たなければならない。北京っ子の間には「秋に季節的料理を食べるには爆肚が最高だ」という言い方があり、これは北京っ子が立秋の頃に爆肚を食べることを好みとしていたことを表わしている。
豆汁
北京でずっと人気を保っている伝統的軽食である。
豆汁は灰色がかった緑色で、汁は濃くてこってりしており、酸っぱくてちょっぴり甘味がある。北京の冬と春の軽食であり、特に北京っ子の大好物。
茶湯
茶湯は炒ったきび粉やコウリャンの粉に熱湯を注いで作ったおカユのようなものである。甘味があり、香りもよく、こってりしていて、オレンジ色のもの。北京っ子たちの間では前門外の聚元斎と天橋の茶湯李の茶湯は人気がある。
「チャイナネット」2004年12月