◆北京の市の木――アカシア
アカシアは北京にある落葉樹種のなかで、年輪が百年以上のものが最も多く、まさに北京の「生きた文化財」。北京の悠久の歴史を物語る証人である。
約3000年の歴史と文化を有する古都・北京。その姿は、と言えば、アカシアにシナフジ、それに四合院を抜きにしては語れない。公園や景勝地にしろ、通りや庭園にしろ、至るところでアカシアが見られるのは、栽培の歴史が古いからだ。元代に大都が築かれて以降、アカシアは街路や家の庭に植えられるようになり、明清時代に街路樹はほぼアカシアで占められた。第2環状線以内に位置する正義路や東交民巷などには、最も古いアカシアが今でも残っている。その多くは1935年から1938年に植えられたもの。
アカシアが古都をイメージするようになったのは? 郷土の樹木となったアカシアは、光を思う存分に受け入れ、乾燥や高温に耐え、土壌のアルカリ性や密集性、不純物への適合性が高いなど、その生態的特性が北京の土壌や気候に非常に適応していたからだ。
◆北京の市の木――コノテガシワ
コノテガシワはアカシアとともに北京市の木に指定されており、栽培の歴史は非常に長い。北京の古い時代の文明のシンボルとして、数多く植えられた。
北京は古木の都市でもある。天壇公園や故宮、北海公園、景山公園、香山など、過去の皇室の庭園や時代を重ねた寺院や廟には多くの古木が残っており、北京の悠久の歴史を語るシンボルでもある。古木のなかで最も多いのが、コノテガシワ。保存等級で1、2級に指定されている古木は1万2665株と、全体の53.8%を占める。力強い生命力をもつコノテガシワは、国の貴重な「文化財」。皇室のものだった庭園や千年の歴史を誇る名刹に残るコノテガシワは、実に荘厳で優美だ。当時、コノテガシワが天を衝く独特の雰囲気に包まれた天壇公園を訪れた元米キシンジャー国務長官は、こう語ったことがある。「米国の財力をもってすれば、われわれは天壇の祈年殿を十棟、いや百棟は建造できるであろう。米国の歴史をもってすれば、こうした古木は1本ですら育成することはできないであろう」
コノテガシワは郷土の樹木、低山では主要な針葉樹の1種だ。北京の気候の特徴と森林の特性を映する樹木でもある。
「チャイナネット」 2008年7月