文社火に分類される小花戯。
誰もが歌い踊る「民間芸術の郷」~左権の社火節
さらに伝統色の濃い社火節が行われているのが、晋中市に属する左権県だ。左権県は海抜1000メートル以上の山間にある農村だ。
左権の人々は誰もがみな歌や踊りを好み、その普段の生活は歌や踊りと切り離せない。そのため左権は「中国民間芸術の郷」と呼ばれている。村々には「芸術団」や「文芸隊」と呼ばれるパフォーマンス集団がいくつもあり、子供たちは幼稚園や小学校で左権に伝わる民謡や踊りを習う。社火節の期間中、街頭には至る所に舞台がしつらえられ、賑やかな演奏が響き、歌い踊る人々の姿が見られた。
左権の村々では、宋代にはすでに社火(社火節の出し物)を演じる結社があり、明・清代には村1つにいくつも社火の結社があるほど盛んになっていたという。左権の社火には文、武、丑の区別があり、文社火は小花戯と呼ばれるこの地方独特の演劇、武社火は武術、丑社火はこっけいな身振りで歌い踊る丑花戯のことを指している。中でもとりわけ有名なのが小花戯だ。小花戯は左権に伝わる伝統演劇で、演者が両手に扇子を持って踊るのが特徴だ。