武社火に分類される武術。
左権の社火節で最も興味深いのは、「串火盤」と呼ばれる習慣だ。「火盤」は家々の入り口や広場に薪や練炭を円錐状に積み上げて作ったかがり火のことで、文芸隊や芸術団がこの「火盤」のそばで出し物を演じてまわり、「火盤」の主はその礼としてクルミや落花生、タバコなどを渡す(現在では現金を渡すことが多い)。またこの地方には、「本命年」(年男・年女)にあたる人が厄除けのために出し物を演じる習慣があるという。左権の社火節には、土地と火の神への崇拝とともに、「消災祈福」すなわち駆鬼逐疫と幸福祈願の意味が込められているのだ。
こうした社火の費用は文芸隊・芸術団が持つこともあるが、基本的には村が負担するという。金額は村の状況によっても違うが、少ないところで2~3000元、多いところでは30万元という巨額をつぎ込むというから驚きだ。社火節をどれほど人々が楽しみにし、重視しているかがうかがえる。