中国では今年、春節(旧正月)に家族の重要イベントとして皆で食べる「年夜飯」(年越し料理)のデリバリーが人気を集めたほか、店内飲食の予約も殺到、ミールキットも引き続き好調な売れ行きとなっている。
デリバリーの人気沸騰、訪問調理も静かなブームに
フードデリバリー大手、美団外売の統計によると、同社のプラットフォームでは直近2週間、「年夜飯」を提供する店舗数が前年同期の21倍となり、「年夜飯デリバリー」「年夜飯テークアウト」のキーワード検索数が5倍に増えた。ネット出前サービス大手「餓了麼(ウーラマ)」のプラットフォームでは、旧暦12月に入った22年12月23日以降、ホームパーティー用デリバリーに関する検索数が11倍に増えた。
星付きホテルや飲食大手による「年夜飯」のデリバリーも増えている。多くのレストランも4人用、6~8人あるいはさらに多人数用の「年夜飯」のセットを販売している。一部のレストランは人手を3倍に増やし、デリバリーやテークアウト需要に対応している。
また、「年夜飯」の訪問調理サービスも静かなブームとなっている。ホテルなどが派遣する調理師は顧客の好みや必要に応じて「年夜飯」を作り、食事の終了後には食器を洗い、ダイニングルームやキッチンの清掃なども行う。
店内飲食の需要が回復、人気レストランに予約殺到
口コミサイト「大衆点評」の統計によると、今年は「年夜飯」の店内飲食の需要が大きく持ち直している。「年夜飯レストラン」の検索数は前年同期の2・6倍に増えた。
ホテルや飲食店が加盟する中国飯店協会の金勇(きん・ゆう)副会長は、春節の「年夜飯」市場は今年、次第に回復段階に入っており、飲食消費意欲は大きく高まり、「年夜飯」の店内飲食予約が急増していると指摘した。
一線都市(北京、上海、広州、深圳の4市)の一部レストランには予約が殺到し、個室の予約はどこも難しくなっている。海南省三亜などの観光都市の人気レストランは予約がほぼ埋まっている。これまで「年夜飯」を扱っていなかったレストランの中にも、今年は予約を取るところが出てきた。
美団の統計によると、1月16日までの1週間の「年夜飯」店内飲食予約は前週比2・2倍に増えた。
若者は見栄えや利便性重視、ミールキットの販売好調
「年夜飯」のメニューは今年も、縁起の良いとされる料理が中心となっている。魚料理やカモ料理、豚バラの蒸し料理「扣肉」など伝統的な料理のほか、特色のある地方料理や干支(えと)のウサギをかたどった菓子なども人気を集めている。
消費の洗練化や健康志向も際立っている。金氏によると、今年の「年夜飯」は種類が非常に豊富で、高級食材をふんだんに使った福建地方のスープ料理「仏跳牆」や広東地方の正月料理「盆菜」などが引き続きよく売れているほか、お年寄りや子どもに適した栄養たっぷりの健康な料理も増え、主要な選択肢となっている。
電子商取引(EC)大手アリババグループ傘下の生鮮食品スーパー「盒馬鮮生」の調査によると、「年夜飯」を頼む若者が増える中で、見栄えや利便性がより重要な要素となっている。
簡単に準備でき、時間や手間が省けるミールキットは今年、引き続き売れ行きを伸ばしている。生鮮食品配送サービス「美団買菜」の統計によると、春節前のミールキット関連商品の販売量は前年同期の5倍に増えた。生鮮食品ECプラットフォーム「叮咚買菜(Dingdong Maicai)」が打ち出した故郷の味が売りの伝統的な宴席料理「八大碗」シリーズは、発売後わずか半月で10万セット以上を販売。香港のカニ料理「避風塘炒蟹」のミールキットは1日で5千セットを売り上げた。
「新華網日本語版」より 2023年1月26日