「日本に着いたら、少年時代の経験を語り、平和の維持を望み、戦争に反対する南京の農民の願いを日本人に伝えたい」――。南京の農民・蘇国宝さんが、訪日を翌日にひかえた4日、「中国青年報」の取材に応じた。
南京市江寧区湯山社区湖山村で「次世代を気遣う協会」と「老年協会」の責任者を務める蘇さんは、数え年で今年80歳、中国を侵略した旧日本軍による南京大虐殺の証人だ。大虐殺の期間に湖山村では村民60人余りが犠牲となった(村外で犠牲になった村民、同村で犠牲になった他村民を含む)。蘇さんの弟、祖父、おじも犠牲になり、一家全員が難民となった。
蘇さんは、日本で歴史を語る理由について「大虐殺で同胞30万人が犠牲になってから69年目に悲劇を振り返るのは、悲劇の再演を防ぐためで、戦争の残酷さを語るのは、平和の貴さを伝えるためです。平和な時代に生まれた人は、あの頃の歴史をあまり良く知らないので、真実の歴史を中日両国の青年に伝えなければなりません。歴史を理解してこそ、歴史を鑑とすることができるのです」と語った。
さらに「南京には『隣人と仲良く暮らすのは、金や宝にも優る』という古い言葉があります。湖山村の農民は『隣国に善意をもって接し、隣国をパートナーとする』という言葉に賛成します。わたしたちは世界が平和で調和が取れていること、永遠に戦争をせず、世々代々太平を享受できることを望みます」と述べた。
また、「平等互恵で、生態環境を破壊しさえしなければ、日本企業が湯山社区と湖山村に来て投資をしても、村民は必ず他の外資系企業と同じように歓迎するものと信じています」と指摘した。
蘇さんは京都、大阪、神戸、名古屋、東京などで計9回の講演を行う予定だ。
「人民網日本語版」2006年12月5日