高成長と高物価上昇率との共存
これまでと異なるのは、今年上半期において、中国経済は高成長と高物価上昇率が共存する状況となったことである。
ここ数年、国民経済の発展状況についての発表が行われるたびに、急成長が続いているが物価上昇率は低いという傾向が見られる、と国家統計局の報道官は誇らしげに締めくくった。しかし、この何度も繰り返されてきた言葉は今回は耳にすることはなかった。急成長には変わりはないが、低物価上昇率は存在しなくなったのである。国家統計局のデータが明らかにしているように、今年上半期の消費者物価指数(CPI)は前年同期比3.2%上昇し、3年ぶりの新記録となり、特に6月のCPI上昇幅は4.4%にも達し、中国人民銀行(中央銀行)年初の3%の目標を大きく上回り、5%という中国のインフレ警戒ラインにも近づきつつある。李暁超報道官によると、今年上半期のCPI上昇における最も顕著な特徴の1つは、構造的物価上昇が現われたことであり、その主な要因は食品価格の上昇による影響である。食品価格の上昇は主に食糧、肉類・家禽類とその製品およびタマゴ価格の上昇に集中的に現われている。上半期のCPIの3.2%ポイントの上昇率のうち、2.5ポイントは食品価格によって押し上げられたものである。
この高成長と高物価上昇率が共存している状況に対して、業界の専門家たちは懸念を示してる。
中信証券エコノミストの諸建芳氏は、当面GDP伸び率がいくらか高いものであり、しかもCPIの前年同期比伸び率は第1四半期は2.7%、第2四半期は3.5%、なかでも6月単月の上昇率は4.4%に達するものとなった。このような価格上昇は近年では、2004年の経済過熱期に現われただけである、と語っている。
クレディ・スイス中国研究部門責任者のビンセント・チャン氏は、中国の通年の経済成長率は11%を下回ることがなく、CPIは最高5%~6%に達する可能性もあるとし、これは中国経済の健全な発展にとって挑戦的なものである、と言う見方を示した。