車による煩わしさ
多くの都市では、駐車困難がマイカー族の心配のタネだ。駐車場所が見つからないため、車の間隙を縫って止めざるを得ない人も多い。これでは安全上、問題がある。
自動車がますます増えているため、石油の消費もますます増えてきた。自動車はガソリン総生産量の85%、ディーゼルオイルの42%を消費しており、石油消費増大の主因となっている。
自動車の増加によって、水や大気にも問題が出てきた。北京や上海、広州など大都市の市街地では、一酸化炭素や窒素酸化物、水素酸化物などの一大汚染源が自動車だ。国家環境保護総局によると、05年には排気ガスが都市の大気汚染の約79%を占めた。15年前の冬の北京では、普通の風邪や咳など一般的な呼吸器疾患は1週間か、3日横になれば回復できたが、今では半月もかかるという。すでに多くの煙突が姿を消し、工場も郊外に移転していることから、呼吸器疾患の主因はやはり自動車だ。
交通渋滞も深刻だ。北京市の王岐曽市長は「現在、最も頭の痛いのは交通問題である。市の交通管理当局が調査したところ、出退勤のピーク時、市区の一部幹線道路の平均速度は約11キロと、自転車の速度と同じだ。渋滞で大量の時間と金を浪費するため、企業は重大な損失を被っている」と説明する。経済学者の芧于軾氏も「北京では渋滞による直接損失は年間60億元にのぼる。北京や上海、広州では渋滞はすでに特別の光景ではない。自動車の増加率は毎年50~80%に達している。ますます多くの大都市、また中小都市でも同じような交通渋滞に直面しており、渋滞と事故による経済損失は年間国内総生産の2%に達している」と指摘。
中国機械工業連合会の張小虞副会長は「中国が現在直面している自動車が引き起こす最大の問題は、環境の保護、エネルギーの消費と安全の問題である。この3大問題は自動車産業が過去もそうだが、将来の発展段階で直面する圧力となるだろう。これらは世界の自動車大国や消費大国が直面しなければならない問題ともなっている。政府は今、自動車の増加に伴う問題に非常に関心を寄せ、いろいろ方策を講じて解決に当たっているが、時間がかかるだろう。解決には科学的かつ合理的な方策が必要だ。同時に、経済との関連も考慮する必要がある。結局のところ、自動車の生産と消費は中国経済の発展をけん引する主要な要素だからだ」と強調する。
「北京週報日本語版」より2007年8月15日