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中国、もう資本大国なのか?
発信時間: 2007-12-04 | チャイナネット

足りぬ成熟度

急ピッチの成長によって中国の資本市場が抱える問題も表面化した。

10月15日、尚福林氏は国際取引所連合(WFE)第47回年次総会宛ての祝電の中で、中国の資本市場の際立った特徴は「新興プラス転換」だとし、「短期間に成長したため十分に成熟しておらず、改革を持続することで証券市場の構造を適正化し、市場の機能を完全なものにしていく必要がある」と指摘した。

同氏はさらに次のように指摘。「中国の資本市場は計画経済から市場経済へと移行する転換期にあり、出発当初から足りないものがあった。たとえば、市場インフラが完全に構築されていない、証券市場の監督・管理に向上の余地がある、投資家教育がさらに必要、などの点だ。“新興プラス転換”という特殊な歴史的段階に成長してきた資本市場は、システム上も制度上も制約を受けざるを得ず、多くの問題が山積している」。

10月26日に上海で催されたフォーラムの席上、胡汝銀主任も「資本市場が求める二つの要素、つまり自由な経済と持続的な法制度という面で遅れている。この二つの実現に向け努力はしているが、今のところ中国ではまだ実現されていない」と述べ、中国の資本市場は大きく立ち遅れていると指摘した。

中国の証券化率はすでに100%を超えているが、実質的な構成を見るとかなり高い割合で依然として非流通株が混じってカウントされている。胡氏によると、現在、中国株の流通株式時価総額は10兆元足らず。こうしたきわめて初歩的な段階の証券化率は、米国およびその他の先進国のそれとは比較すべくもない。

胡氏は「中国人の預貯金額は16兆元を超え、全銀行の資産が間もなく40兆元に近づくなかで10兆元足らずの流通株式時価総額は、中国の資本市場の需給関係が著しくアンバランスであることを物語っている」と指摘する。

中国証監会研究センター主任の祁斌氏は、中国資本市場の構造のアンバランスを痛切に感じている一人だ。彼は10月26日に上海で開催された「中国資本市場の着実な発展と持続的繁栄」と題するフォーラムの席上、「中国の資本市場には証券関連の商品が足りない。株式市場が主体で債権市場の発展が遅れている」と指摘した。

同氏はまた、市場経済体制と社会信用システムが不完全なもとで真の資本制約をめぐるメカニズムが確立されていないと考えている。中国の資本市場には、企業行為に対する市場価格の制約が有効に機能していない、市場化の選定と上場廃止制度について健全化が必要、上場企業のM&Aや再編に対する行政の関与が強い、といった特徴がある。外部の金融動向が中国市場に衝撃を与える可能性も増しており、祁氏は、健全な監督・管理とリスクマネジメントが差し迫った課題だと言う。

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