北京五輪組織委員会の魏紀中・顧問(北京五輪経済研究会会長)は10日、経済雑誌「財経」の2008年年次総会で、「現在の不動産市場、株式市場、物価はいずれも、北京オリンピック抜きで語ることはできず、理性的とはいえない投機的な予想もいくつか生みだした」と語った。「中国青年報」が伝えた。
中国銀行の朱民・副頭取も上記と同じ見方を示している。朱副頭取によると、「ポストオリンピック不況」は恐ろしいものではなく、恐ろしいのは、オリンピックに「乗じた」理性的とはいえない予想そのものだという。2人の見解から、大国である中国にとって、ポストオリンピック不況の回避には何ら問題もないといえる。
専門家の研究によると、過去10数回のオリンピックにおいて、オリンピック準備期間中のGDP増加幅が準備前より0.3~2.5%高かった開催国は8カ国。開催後8年間のGDP増加幅が準備期間中より0.4~2.5%低かったのは9カ国。1996年アトランタ大会の米国、1980年モスクワ大会の旧ソ連邦、1972年ミュンヘン大会のドイツにはいずれも、「ポストオリンピック不況」が現われることはなかった。
本国経済における開催都市の地位が、ポストオリンピック不況を決定づける一要因となることが研究により明らかになった。オリンピック後に景気が後退した国家はほとんど、開催都市GDPが本国GDP全体の10%以上を占めており、中には20%以上の都市もあった。韓国・ソウルとオースラリア・シドニーはいずれも、本国の人口およびGDP全体に占める割合が20%を上回っている。北京の人口およびGDPの全体に占める割合はそれぞれ、1.4%と3.7%にすぎない。このことから、朱副頭取は、中国経済の総量など各要素も十分に考慮し、特に北京が多くのオリンピック開催都市の先例や教訓を総括した上で、自己努力によって、「ポストオリンピック不況」を回避することは可能だと考えている。
いわゆる「ポストオリンピック不況」とは、オリンピック開催後に開催国家・都市に起こる景気後退現象を示す。その原因として、開催準備段階に投資や消費収入が激増すること、開催後に多くの競技施設が遊休状態となり多大な維持コストを生み出すことなどが挙げられる。
「人民網日本語版」2007年12月11日 |